今回も上野、新宿、池袋、秋葉原などで呼びかけが事前に行われた。私も1日だけだが、五反田での呼びかけに参加した。

 昼の五反田には何度も来たことはあるが、夜の五反田が“あれほどの”「男性のための」歓楽街だとは知らなかった。集合は夜8時だったが、かなり早めに着いてしまったので歓楽街に一人で入ったのだが、駅前すぐの歓楽街の入り口には無料の風俗案内の看板がギラギラと目立ち、通りにはケータイ片手に立ち話をしている勧誘の男たちが数メートルおきにいる。業者の男たちの前を、若い男性たちが2、3人で肩を並べるようにして楽しげに歩いている。どこの歓楽街に行っても感じることだが、言われているほどオジサン中心の世界ではなく、性を買う人は若者が多い。業者も客も男性たちはリラックスしていて、自由で楽しげである。

 女性たちはたいてい1人、または男性と一緒に歩いている。細いヒールであまり上手に歩けていない若い女性、露出の高い服で、左ひじの下を大きなバンドで隠している女性にも数人すれ違った。たぶんリストカットの痕なのだろう。女性たちの緊張した真剣な面持ちと、男性たちのリラックス感のコントラストが強く、光と音の刺激にくらくらしながら集合場所に向かった。

 集まったのは実行委員を中心に、今日初めて来たという女性もあわせて15人ほど。さまざまな世代のさまざまなバックグラウンドを持つ女性たちが、チラシや看板をそれぞれ手にしながら、マンスリーマンション群、24時間保育園などを手分けして回った。

「仕事がなくてどうしていいか分からない方、子育てに悩んでいる方、DVを受けているがどうしたらいいか知りたい方、生活保護の申請をしたい方、国の支援制度のこと知りたい方、女性のための相談会をしています。どんなことでも相談してください。相談員はみんな女性です」

 五反田の歓楽街を、そうマイクで呼びかけながら、せせら笑うようにこちらを見る男たちの視線の間を縫うように歩いた。4回目の長い緊急事態宣言前の最後の土日だからか、街には人があふれている。居酒屋は満席だ。歩きながら自ら手を出してチラシを手に取ってくれた女性もいた。

次のページ
「私たちはここにいます」