コロナ禍ということもある。

「朝のワイドショーでは毎日のように、コロナの感染者数を報道し、それとワクチンや変異株の放送。それ以外のニュースはネタ枯れ状態で、今、一番強いコンテンツが大谷選手なんですよ。オールスターではインターネット番組ではこういうふうにはいかないという地上波ならではの見やすさ、楽しさ、迫力をお届けしたいです」(同前)

 前出の碓井氏は大谷の試合を毎回見ている理由をこう話す。

「夜のスポーツニュースでダイジェストで、いい場面だけを見るのとはわけが違う。球場の雰囲気の中で、大谷君と一緒に2時間過ごすみたいな感じがいいんですよ。それにまた、毎回のように大谷君がちゃんと応えてくれている」

 現在、大谷は打者トップのホームラン33号を打ち、日本人最多本塁打記録を更新した。だが、ホームランダービーの競技中、「疲れた」を連発し、オールスターにも出場となると、後半戦への影響が心配されてもいる。

「大谷君は異次元の選手だから心配が杞憂に終わるのではないかなぁと勝手に思っちゃってます。心配よりも、史上初の二刀流で記録を塗り替えることを目撃しているありがたさがあります」(碓井氏)

 東京五輪も7月23日から開幕する。

「本当は五輪こそ、スポーツコンテンツとして最強だったはずなのに、開催や無観客をめぐって、いろいろな複雑な問題があって、手放しで楽しめなくなっています。それがあるから余計に大谷君の活躍は手放しで楽しんで、応援していいわけだし、スポーツをめぐる閉塞感を吹き飛ばしてくれている」(同前)

(AERAdot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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