「河野氏の発言はあまりに無責任だ。4月のゴールデンウィーク頃からワクチン不足になることを知っていたと堂々、テレビで話す神経を疑う。接種を急ぐよう政権は散々、煽った。ワクチンが不足するなら、なぜその時点で自治体へ情報を出さないのか。ワクチン接種を希望していた市民にどれだけ迷惑をかけているか。キャンセルを通知する自治体も事務作業が膨大に増えている。許せない発言だ」

 河野氏の発言や政府の動きには問題があったという。

「自衛隊や大都市の大規模会場で使用が予定されていたモデルナ製ワクチンの不足が政府内で判明したのは、4月初旬だったはず。自衛隊が運営する東京、大阪の大規模接種会場にあまり人が来ないと言うので、菅首相はそれまで検討していた職域接種に舵をきった。すると、希望する社が多くて、モデルナ製ワクチンの供給分(9月までに5000万回)があっという間に埋まってしまった。慌てて職域接種を中止したというのが本当のところ」(厚労省関係者)

 職域接種の募集の中止発表は、東京都都議選の投開票日である7月4日に近接していた。

「都議選の結果は国政選挙と直結することで知られる。菅首相はワクチン接種を大々的にぶち上げることで都議選での大勝をもくろんだ。周囲は職域接種を企業にすすめるのは、慎重にした方がいいと進言したが、菅首相は耳を貸さなかった」(自民党幹部)

 河野氏は自身のブログで<ファイザー社もモデルナ社もワクチンの供給に関する情報の公表には非常に敏感です。日本向けの供給が削減されたことが公になれば、それを狙って各国は、ワクチンメーカーにいろいろな動きをしてくるでしょう。ですからファイザー社もモデルナ社も、日本政府がワクチンに関する情報を公表する時は、必ず事前に合意の上で行うことという条件をつけています>と弁明している。だが、先の厚労省関係者はこう話す。

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ワクチン不足を都議選まで隠した?