妹との仲の良さがうかがえるエピソードだが、確かにきょうだい関係がうまくいっている人は優しくて思いやりのある人が多い。子どもの頃から一緒に過ごしている妹を尊重できるからこそ、他人にも思いやりのある行動がとれるのだろう。

■母が作ったタオルを10年間使い続ける

 ドラマ「恋はつづくよどこまでも」で共演した渡邊圭祐は、撮影現場で何げなく「果物食べたいね」という話を上白石にすると、後日ドライフルーツを持ってきてくれたというエピソードを紹介していた(「PlusParavi」・2020年1月21日配信)。スタッフに対する気配りを忘れない上白石のことを、渡邊は人として尊敬しているという。

「人に対する思いやりだけでなく、物を大切にする一面もあって好感が持てます。以前、バラエティー番組で話していましたが、下敷きを10年間使い、ローファーは高校生の3年間で一足だけ。東宝のオーディションの時に母親に作ってもらったタオルは10年使っているそう。物に愛着を持ち大切に扱う人は他人に対しても同じで、情の深い人が多いですよね。もともと、人と合わせることに心地よさがあったそうで、自分がしゃべるよりも人の話を聞くほうが好きなようです。あまり主張しすぎず、聞き上手で気遣いもできるところが、『あざとい』と見えてしまうのかもしれませんが、上白石の場合、根っからのいい人で、慈悲深いからこそあの穏やかな雰囲気がにじみ出ているのでしょう」(前出の編集者)

 TVウオッチャーの中村裕一氏は、そんな上白石の魅力をこう分析する。

「バラエティー番組でカメラを忘れてまるで小さい子供のようにはしゃぐ姿や、昭和・平成の名曲をその大きな瞳を輝かせながら歌い上げる姿には心が癒やされます。物事をまっすぐに受け止め、喜びや感動を素直に表現し、伝えることのできる豊かな感性の持ち主なのだと思います。秋からスタートする『カムカムエヴリバディ』では、彼女の持ち味でもある前向きで誠実な演技はもちろん、今まで見たことのないような表情もみせてくれるはずです」

 アンチが一転してファンになることも珍しくない芸能界。胸キュンドラマで好演し、多くの支持を集めた上白石萌音が、より注目を集める年になりそうなことは間違いない。(丸山ひろし)

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丸山ひろし

丸山ひろし

埼玉県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集業務に従事。その後ライターに転身し、現在はウェブニュースや、エンタメ関連の記事を中心に執筆している。

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