■中日:柳裕也

●成績
15試合 7勝4敗0ホールド0セーブ 防御率2.50 103奪三振

 巨人に次ぐリーグで2番目に少ない失点の投手陣だが、その中でも完全な先発の柱となっているのが柳だ。ここまで15試合に先発して7回以上を投げたのが9試合、6回以上は12試合とほとんどの試合で先発としての役割をしっかり果たしている。投球回(100回2/3)、奪三振数はリーグトップで、WHIP0.92は規定投球回数に到達している投手の中では宮城大弥(オリックス)に次ぐ12球団でも2番目の数字である。東京オリンピックの日本代表に選ばれなかったのが不思議なくらいの活躍であり、この状態をキープすることができれば複数のタイトル獲得も見えてくるだろう。

■広島:栗林良吏

●成績
33試合 0勝1敗0ホールド17セーブ 防御率0.55 53奪三振

 低迷するチームにあって、ブルペン陣の救世主的存在となっている栗林を迷うことなく選んだ。膝の故障で長期離脱となったフランスアに代わってクローザーを任されると、プロ野球記録となる初登板から22試合連続無失点を達成。コンスタントに150キロを超えるストレートと140キロ台前半のカットボールでカウントを整え、必殺の決め球であるブレーキ抜群のフォークで三振を奪うピッチングは安定感抜群だ。東京オリンピックの日本代表にも選ばれたが、大事な場面で登板することも十分に考えられ、金メダル獲得に向けてのキーマンの一人とも言えるだろう。

■DeNA:オースティン

●成績
66試合 打率.315 18本塁打 47打点 出塁率.415 盗塁1

 開幕から大きく躓いたチームが徐々に上向いてきたのは、オースティンの働きによるところが非常に大きい。コロナ禍で来日は遅れたものの、4月中旬から一軍に合流すると順調なペースでホームランを量産。昨年は長打か三振かというスタイルに見えたが、今年は明らかに確実性もアップしており、日本の野球にしっかりと適応してきた印象を受ける。また、ホームランバッターである外国人選手にしては珍しく、守備や走塁でも全力プレーを惜しまない姿勢も素晴らしい。東京オリンピックではアメリカ代表にも選ばれているが、日本の投手陣にとっては厄介な存在となることは間違いないだろう。

(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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