巨人・ウィーラー(左)と中日・柳裕也(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/中日ドラゴンズ)
巨人・ウィーラー(左)と中日・柳裕也(右)(写真提供・読売ジャイアンツ/中日ドラゴンズ)

 もうすぐ前半戦が終了する今季のペナントレース。今年はオールスターブレイクだけではなく、東京オリンピックの影響もあって例年以上に長い中断を挟むことになるが、12球団それぞれで前半戦最も貢献度の高かった選手を選定してみたいと思う。今回はセ・リーグ編だ。※文中の成績は全て7月12日終了時点

*  *  *

■阪神:佐藤輝明

●成績
82試合 打率.264 20本塁打 51打点 出塁率.304 盗塁5

 野手では他にもサンズ、マルテの両外国人、最多安打と盗塁王を争っている近本光司、投手では防御率リーグトップの青柳晃洋、セーブ数リーグトップのスアレスなど候補は多いが、それでもやはりチームに与えた影響力の大きさから佐藤を選んだ。ホームランと打点でチームトップの数字を叩き出しているのはもちろん素晴らしいが、それ以上にその豪快なスイングとホームランがもたらした空気は大きいものがあったと言えるだろう。三振を恐れずに今のスタイルを継続することができれば、新人最多記録の31本塁打の更新も十分に期待できるだろう。

■巨人:ウィーラー

●成績
66試合 打率.317 10本塁打 36打点 出塁率.386 盗塁2

 離脱者が相次ぐ中で全試合4番を務めた岡本和真と迷ったが、意外性という要素も考慮してウィーラーを選出した。4月には新型コロナウイルスの感染で一度登録抹消されたものの、復帰後もその影響を感じさせない活躍でチームをけん引。打率はリーグトップを争い、OPS(.907)でも岡本を上回る数字を残しているのは見事という他ない。慣れない2番という打順をこなし、本職ではないファーストと外野の守備でも懸命なプレーを見せている。昨年オフには大幅な減俸での残留となったが、それでもモチベーションを落とすことなく、結果を残し続けている姿に心を打たれているファンも多いはずだ。

■ヤクルト:村上宗隆

●成績
81試合 打率.256 24本塁打 57打点 出塁率.387 盗塁8

 昨シーズンに続いてここまで全試合4番で出場を続けている村上を選出した。打率は昨年と比べて低下しているのは気になるものの、順調なペースでホームランを量産。四球の数(60)もリーグトップと選球眼の良さも健在で、高い出塁率もキープしている。今年で21歳という年齢を考えると、その存在感の大きさは改めて驚異である。東京オリンピックでも野手では最年少での選出となったが、そのことに対して疑問の声は全く聞こえてこない。オリンピックの舞台でも、次代の日本の4番を世界に印象付けるような活躍に期待したい。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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