事実、監督交代後もチームの戦いぶりは低調で、下位チームを相手には選手個々のタレント力の差で勝利しているが、上位陣を相手には完敗の試合が続いている。今季に関しては「残留が目標」という状況。日本勢唯一のグループリーグ敗退となったACLから、中止分の代替開催6試合と天皇杯1試合を加え、7月、8月の2カ月間で計17試合を戦う超過密日程をどう乗り切るか。「まだまだ大丈夫」という気の緩みが出てしまっては、非常に危険だ。

 現時点で降格圏に沈んではいるが、浮上の兆しを見せているのが、18位の大分だ。21試合を終えて勝点16(4勝4分13敗、得失点差-17)。偽カウンターを駆使した「片野坂スタイル」が対戦相手に研究されたことで序盤から苦戦が続いたが、その中でも少しずつでも勝点を積み上げ、7月10日には浦和を相手に1対0の勝利。同3日に柏から獲得を発表した大型FW呉屋大翔がチームにフィットすれば一気に視界が開ける可能性もある。同じく17位の仙台も、21試合終了時点で勝点17(3勝8分10敗、得失点差-17)と苦しい状況であることは間違いないが、開幕10戦未勝利スタートの“底”からは抜け出し、5月に3勝2分2敗と盛り返し、6月以降も白星こそないが、鹿島、浦和といった上位陣からしぶとく勝点1を奪った。8シーズンぶりに指揮を執っている手倉森誠監督の下で一体感を高めれば、後半戦の巻き返しは可能なはずだ。

 下降線を辿っているのが、16位の徳島だ。昨季チームをJ2優勝に導いたリカルド・ロドリゲス監督を浦和へ引き抜かれた末に迎えた7シーズンぶりのJ1舞台。新監督のポヤトス監督の来日が遅れた中で開幕5戦未勝利のスタートとなったが、3月21日の第6節から3連勝を飾り、監督不在の10試合を4勝2分4敗と健闘した。しかし、ポヤトス監督合流後の4月17日以降の12試合は1勝3分8敗の低空飛行。レアル・マドリードの下部組織での監督経験があるスペイン人監督の下で攻撃的サッカーを目指したが、攻守ともに課題を抱えながら順位をズルズルと下げ、22試合消化で勝点20(5勝5分12敗、得失点差-10)、降格圏まで勝点差3となった。今後、どこかのタイミングで方針転換、あるいは何らかの決断を下さなければ、1シーズンでの“即J2逆戻り”の可能性が大きくなって行く。

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