五輪の開会式まで約2週間に迫った段階での発言に官邸は困惑している。

「官邸ではただでさえ宮内庁長官の『拝察』発言があり、天皇陛下が開会式にお出ましいただけるか、ナーバスになっているタイミングでのこの発言ですから、『また丸山砲が始まった』と頭を抱えてます」(官邸関係者)

 実は国民民主党の玉木雄一郎代表が8日、天皇陛下の五輪開会式への出席、開会宣言されるのは避けるのが望ましいとの考えを示していた。

「今回の発言はどうも玉木さんの発言を受けて、丸山さんも着想を得たのではと噂されています。ただ、宮内庁長官が拝察発言をするのはまだしも、何らゆかりのない島根県知事がこれに被せてくるのは、『陛下を使ってのパフォーマンスでやりすぎ』と批判されています」(同前)

 丸山知事は、今年2月に東京五輪・パラリンピックの聖火リレーの中止検討を申し入れた時もその発言が大きな反響を呼んだ。

 その時は、地元選出で自民党の派閥・平成研究会(竹下派)会長、竹下亘元総務会長が「知事が決めるこっちゃねえだろう」「注意しようと思う」といさめたが、丸山知事が反撃。バトルとなったのは記憶に新しい。

 聖火リレー中止検討の時は、竹下氏が丸山知事と会談し、中止は撤回された。その後も丸山知事は「聖火ランナーの方よりもスポンサーの宣伝車の音量などが目立つといった主客逆転のような形がないように、音量を下げてもらえるなら一番いい」と苦言を呈していた。

「丸山さんは総務省の元官僚だが、エキセントリック。聖火リレーの件もそうだったが、政府に噛み付いて喝采を浴び、忘れた頃に撤回する。政府からの全国一斉休校要請も拒否したが、後に一部の学校では認めています」(島根県幹部)

 さらに竹下氏と丸山知事には因縁があった。丸山知事が初当選した2019年4月の島根県知事選挙だ。丸山知事を推したのは、地元の自民党の県議や市議で、竹下氏ら国会議員は別の元総務省幹部を支援し、44年ぶりの保守分裂選挙となった。

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島根の竹下王国の行方は?