※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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アエラムック『大学院・通信制大学2022』より
アエラムック『大学院・通信制大学2022』より

 政府は男女参画社会を推進しているが、日本はまだまだ遅れており、法曹界でも女性が占める割合は目標の3割に達していない。日本弁護士連合会と法科大学院では、女性法曹者を増やすためのさまざまな取り組みを始めている。女性の入学者数を増やそうと力を入れている3つの法科大学院に話を聞いた。アエラムック『大学院・通信制大学2022』で取材した内容を抜粋してお届けする。

【図表】男女別の弁護士数の推移

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 早稲田大学法科大学院が取り組む「女性法曹輩出促進プロジェクト(FLP)」は、文部科学省が主催する「法科大学院公的支援見直し加算プログラム」において、「特にすぐれた取り組み」と評価された。FLPは三つの柱で構成されている。

 ひとつは女性法律家による講演だ。他の法科大学院とも連携し毎年開催している。二つめが身近な女性法曹者との交流会「おしゃべりカフェ」だ。女性法律家と学生が、仕事だけでなくワークライフバランス、結婚や出産などのライフイベントをいかに過ごしたかなど、くだけた雰囲気のなかで話し合う。三つめは、在学中に出産育児経験をする学生も含めた、女性学生に対するきめ細かな学修支援である。

 これらの取り組みは、早稲田大学出身の若手の女性法律家が中心的な担い手となっている。在学生に将来のロールモデルの具体例を示し、勉強や試験に対する意欲を高め、より多くの女性法律家の輩出につながると考えられている。早稲田大学法科大学院の石田京子教授は次のように話す。

「入学者の男女比は、FLPを実施してから明らかに女性の学生の割合が増えています。19年には30%、さらに21年は40%を超えました。女性は家事や育児、介護などをこなしながら司法試験に向けて勉強をしている学生も多い。これからも女性への支援を強化し、本学から多くの女性法律家を輩出していきたいと思っています」

 千葉大学法科大学院は女性学生への支援として、アパートを借りて住む女性学生に住居費として毎月2万円の補助を行っている。同大学院の下井康史研究科長は、そのねらいを次のように話す。

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