家事は妻任せにせず洗濯や掃除は分担し、休日は食事の仕度も。時間がある限り、子どもと一緒に遊ぶ時間も作っている。

 今は「救急救命士の病院での医療活動による医師の労務軽減」をテーマに論文に取り組んでいる。現在は救急車内でしか医療行為が許可されていないが、救急救命士法が改正され、今年の10月からは病院内でも可能になる。

「病院では救命医が足りずに現場が逼迫しています。救急救命士と医師と連携できれば、よりよい治療ができるようになると思います」(同)

 学びたいことが見えて来たら、どのように大学院を探したら良いのだろうか?「社会人大学院生のススメ」の著者で自身も学びながら大学院に通った教育ジャーナリストの松本肇さんは、大学院を選ぶにはホームページやパンフレットだけでなく、可能な限り足を運んで実際に見学したほうがいいという。

「教授との距離も近くなるので、論文を読んだり学会発表を聞いたり、できれば授業を体験させてもらうといいですね」(松本さん)

 入試説明会や無料講座、公開討論会などを行っている大学院もあるので、積極的に参加してみよう。

 通常は大学院入試があるので、試験や提出する研究計画書の準備をしておかなければならない。準備期間は、半年から1年は見ておいたほうがいいだろう。指導教官の論文などを調べて研究計画書に生かすと、合格の可能性が高まるという。

 松本さんは学びたい意欲のある社会人に、「年齢を重ねたからこそ、学びを深められることもある。学びたいと考えている人は、ぜひチャレンジしてほしい」と、エールをおくっている。

(文・柿崎明子)

アエラムック『大学院・通信制大学2022』より