“ヘリコプター打法”で有名となった滋賀学園の馬越大地 (c)朝日新聞社
“ヘリコプター打法”で有名となった滋賀学園の馬越大地 (c)朝日新聞社

 ネットの普及で、高校野球の地方大会も、家にいながら見たい試合を視聴できるようになった。そんなネット全盛時代のなか、珍プレーや珍打法がネット上で紹介されたことをきっかけに、全国区の人気者になった選手もいる。

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 その先駆け的存在が、浦安南の背番号11・佐久間勇気だ。

 2003年の千葉大会2回戦、京葉工戦、0対22とリードされ、コールド負けまであと1人の5回2死無走者で代打出場。見事中前に落ちる安打で出塁したが、直後、パスボールで二進した際に、スライディングすることなく二塁ベースを駆け抜けてしまい、タッチアウトで試合終了となった。

 野球部員が6人しかいない同校は、他部から5人の助っ人を補充しての出場。寄せ集めチームならではのハプニングと言えなくもないが、この動画はユーチューブで460万回以上再生され、“浦安南の佐久間君”は高校野球ファンの間で有名人になった。

 個性的な“ヌンチャク打法”で、日本はもとより、アメリカでも人気を博したのが、滑川総合の背番号12・馬場優治だ。

 15年の埼玉大会5回戦の埼玉栄戦、1対3とリードされた7回に代打で登場した馬場は、バットをヌンチャクのようにめまぐるしく振り回し、エビ反りの姿勢で飛び跳ねる派手なパフォーマンスを披露。ファウルを連発して粘りに粘り、最後は一ゴロに倒れたものの、“ヌンチャク効果”で勢いづいたチームは、この回スクイズで1点を返した。

 試合後、馬場の打席を撮影した観客がユーチューブに動画をアップすると大反響を呼び、当時レンジャーズに在籍していたダルビッシュ有も、ツイッターで「どこの高校の誰か気になる(笑)」と興味を示した。

 MLB公式サイトでも「日本の高校生が代打と創作ダンスを組み合わせた、これがすべてだ」と題して紹介され、“ニンジャ・ヒッター”と評判になったばかりでなく、野球に関する面白い出来事を紹介する公式サイト「Cut4」では、年間の人気記事トップ10の6位にランクインした。

 だが、県高野連は、この打法を「遅延行為になるし、バットが捕手に当たる可能性もある」という理由から、「認めるわけにいかない」と学校側に注意した。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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漫画のような打法で注目された球児