橋本聖子氏(撮影・上田耕司)
橋本聖子氏(撮影・上田耕司)

 東京五輪について1都3県は無観客と決めた、 IOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)、組織委員会、政府、東京都の「5者協議」。8日、東京都中央区の40階建てのガラス張りのビル・晴海トリトンスクエアで開催された。

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 その後に「関係自治体等連絡協議会」や「橋本聖子会長の記者会見」が予定されていたが、開始時間はどんどんとズレ込み、スタッフから「プレスルームで待っていてください」と言われ、記者らは1時間以上待つことに。すでに夜のとばりがどっぷりと下りていた。

 午後11時ごろ、丸川珠代五輪相が協議会を終えて現れると、立ったまま、記者団の取材に応じた。マスクで表情が読み取れないものの、雰囲気は硬く、目線を伏せて、用意した原稿を読んだ。ほんの1週間前、都議選の応援時に元気に候補者とグータッチをしていた時とは雰囲気がガラッと変わっていた。

 無観客となる異例の東京五輪。関係者らは入場できるが、丸川氏は次のように繰り返した。

「私からは大会運営関係者について真に必要な人数に限定することとし、より縮減を図るよう強くお願いをしました……具体的な数字等について何か議論があったというわけではありません」

 午前0時前には、東京五輪・パラリンピック組織委員会の橋本聖子会長、武藤敏郎事務総長の会見が行われた。

 会見前、側にいた人の手から「2020 東京五輪」と書かれた布がすべり落ちるのを見て、橋本氏は「落ちたよ」と教えてあげていた。まさに橋本氏は、すべり落ちそうな五輪をすくい上げる役回り。会見では決定事項を淡々と発表。表情には疲労がにじんでいた。

「橋本さんは、くたくたでしょう。橋本さんは今回に限らず会見では下を向いたまま話すことが多いが、作られた文書を読んでいるのではないか。自分の言葉で話していない印象です。それでは何か危機があった時、相手が納得できるように説明することができません」

 このように指摘するのは、今回の東京五輪招致の際の東京都担当課長で、現在は国士舘大学客員教授の鈴木知幸氏だ。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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