「会計書類を精査しないと使途はわからない。しかし2900万円は大金だ。河井夫妻が本当に手持ち資金から出したのか、にわかに信用できない点もある。もし、1億5千万円から1円でも買収資金に使われていたとなれば、とんでもないことになる。克行被告は裁判で偽証となるし、自民党としても責任を問われかねない。解散総選挙を秋に控え、政治とカネが争点になったら選挙に負けかねない」

 また、野党の立憲民主党幹部はこう話す。

「自民党は検察が押収した会計書類をすべて公開すべきです。1億5千万円に見合う支出分の書類を公表して、ごまかすことも十分に考えられる。河井夫妻の選挙戦から1億5千万円以上のカネが使われたという情報はたくさん寄せられている」

 前出の落合弁護士はこう話す。

「1億5千万円の問題は、もう河井夫妻の裁判で2人とも判決が出ている。被買収を不起訴とすれば捜査は完全に終結だ。検察は押収した会計資料をすぐにでも返却するはず。自民党はなぜ、返却を求めないのか? 解散総選挙が近いので自民党は先に延ばしたいのでしょうが、それでは真相解明できない」

 1億5千万円の闇は明かされるのか。
(AERAdot.編集部 今西憲之)

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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