こうした悩みを持つ患者さんにいつも私は、「自信がなくても、苦手でも、嘘でもいいので、とにかく頭の中でプレゼンがうまくいくと思い込んでください」と言っています。多くの患者さんは「それで解決されるの?」と懐疑的な顔を私に向けてきますが、続けて言うのが、「プレゼンの始まるずっと前から、当日うまくいって拍手喝采されている場面を頭の中で思い浮かべる練習をしましょう」

 これは頭の中でよい結果に決めつけるためのトレーニングです。プレゼンの勝負は当日ではなくそれ以前から始まっていると、私は思っています。ですから、商談が上手くいった場面、初対面のクライアントとコミュニケーションがうまくとれたシーン、これを日常生活の中で思い浮かべるくせをつけてもらうのです。

 実際、トレーニングを重ねた患者さんからは、「プレゼンがまったく怖くなくなりました」「パニックになることがなくなりました」といった声をいただいています。

■人間は自分のことに目がいきがち

 失敗するのでは?と強く考えてしまう人は、自分のことを過度に気にしています。他人に置き換えてみるとわかるのですが、他人がプレゼンしているとき、少し言葉がつまっただけで、あなたは大きな失敗とみるでしょうか。特に気になりませんよね。他人のことはそれほど気にしてはいないのです。人間は自分のことに目がいきがち。自分のことをあまり気にしすぎないようにしましょうね、ということです。

 プレゼン前は体が緊張しているので、姿勢を正したり、深呼吸をしたり、体からのアプローチで物理的にリラックスできます。こうして体の緊張をとると同時に、普段から考え方のくせを変えて脳からリラックスすることでプレゼンに強い体を目指しましょう。

 私が皆様にお伝えしたいことは、どんな自律神経の症状でも、諦める必要はないということです。体調不良が続くと、「このまま治らないのではないか?」とか「自分はもうだめだ」とか不安や心配、否定の気持ちばかりになりがちで、不調そのものをストレスにしてしまいます。

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