こうした生理的なメカニズムが根底にあります。そして、ストレスを受けるたびに頻繁に交感神経のスイッチが入ってしまい、バランスが崩されてしまうと、副交感神経がうまく働かなくなってしまいます。こうしたことが体の中で自然に行われているなんてすごいですよね。


 
 しかし、機能が良好であれば問題ないのですが、いったん悪くなったときには自分ではコントロールできないゆえにやっかいです。間違っていただきたくないのは、交感神経が活発に働くことが悪いわけではなく、交感神経と副交感神経の働きのバランスが乱れてしまうことが問題なのです。まわりの環境に合わせて、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズであれば問題はありません。

■2つの神経のバランスが乱れやすくなる現代人の生活

 では、交感神経と副交感神経のバランスのいい状態とはどのような場合なのでしょうか。この2つの神経は同時に働くことができないので、通常は交互に働きます(図2参照)。

 副交感神経はリラックスの神経です。2つの神経の働きを大きくとらえると、寝ているときは副交感神経が働きますが、朝目覚めると、だんだんと活動時の神経である交感神経が働き始めます。日中は交感神経がよく働き夕方に向かって少しずつ副交感神経が働き出して体は徐々にリラックスモードに。

 現代人の生活はどうでしょうか? 真夜中まで起きて遅くまでスマホやパソコンを使っている、残業続きで睡眠時間が少ない、シフト勤務では昼夜逆転もある……これらはすべて交感神経を優位に働かせてしまう原因であり、2つの神経のバランスが乱れる理由なのです。(構成/生活・文化編集部)