まず、サンスクリーンは2度塗りする。屋外で過ごす時間が長い場合は、塗ってから3時間経過した後にもう一度塗る。窓ガラス越しでも油断してはいけません。窓ガラスはUVBをカットできますが、UVAはカットできません。最近はUVカットの服やカーテンも販売されています。窓際で仕事をしなければならない人は使ってみるのも一つです。

【3】保湿はさぼらない

 年齢とともに皮膚は乾燥してきます。乾燥が進むとかゆみが起きやすく、結果として湿疹になります。冬場に肌が乾燥してかきむしった結果、湿疹となった経験の人は多いのではないでしょうか。肌の水分保持量が高い人ほど若く見えます。また、最初に説明したとおり湿疹が慢性化すると皮膚の老化がすすみます。保湿を続けることは肌を若く保つために必須の習慣です。

 余談ですが、肌の乾燥はフィラグリンというタンパク量に相関します。フィラグリンの遺伝子に変異があると、アトピー性皮膚炎になりやすいことが知られています。フィラグリンの遺伝子に変異があるかどうかは、遺伝子検査をせずに簡単にわかる方法があります。それは手のひらの拇指球(ぼしきゅう、親指の付け根の膨らんだ部分)を観察することです。拇指球に深いシワが刻まれていればフィラグリン遺伝子に変異がある証拠です。また、スネの部分がいつもカサカサしている人もフィラグリン遺伝子に変異がある可能性が高いです。当てはまる人は保湿をしっかり頑張りましょう。

【4】肌の調子が悪いときはチョコレートやコーヒーを避ける

 これは一部の人に当てはまることですが、金属アレルギーによって湿疹が起きる患者さんがいます。若い女性のアトピー患者さんに多いのですが、チョコレートやコーヒーに含まれるニッケルが湿疹の原因となっている場合があります。健康な皮膚の状態であえて避ける必要はありませんが、肌の調子が悪いときに金属を多く含む嗜好品を摂取するのは控えたほうがよいでしょう。

【まとめ】

 今回は肌年齢を若く保つために必要な習慣を紹介しました。これ以外にも当たり前のことですが、規則的な生活を送るのはとても大事です。アトピーやニキビなどは生活のリズムが狂うだけで悪化します。病院内を見渡すと、夜勤が続いた看護師さんがニキビで悩んでいる姿をよく見かけます。不規則な睡眠リズムや食生活は肌のトラブルを引き起こし、結果として慢性炎症につながります。

 欧米などの海外に出ると日本人は若く見られます。これはやはりシミやシワなどが少ないのも原因の一つでしょう。「若い、若い」と言われすぎるのも嫌なもので、男性の場合はひげをはやして貫禄をつけます。そう考えると、「周りと比べてちょっとだけ若く見える」というのが一番居心地がよいのかもしれません。

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大塚篤司

大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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