五輪マークのモニュメント(c)朝日新聞社
五輪マークのモニュメント(c)朝日新聞社

 東京五輪に参加する女性アスリートが乳児を育てている場合、同伴での来日が認められる方向であることが判明し、大きな反響を呼んでいる。ロイター通信の取材に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が「必要に応じて」と認めたことを、国内外のメディアが一斉に報じた。

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 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、当初は海外からの選手の家族や友人の入国は認められていなかった。だが、五輪開催まで1カ月を切ったこの時期に、急転直下で方針が変更になった。乳児は選手村に入ることができず、「東京2020が承認した民間の宿泊施設」に滞在することになるという。

「乳児を入国させた場合、選手が選手村、乳児が別の宿泊施設で別々に過ごすことを想定しなければいけません。万が一、乳児がコロナに感染した場合は誰が責任を取るのか。他国に訴えられて裁判に発展する恐れもある。複数の選手が授乳中の乳児を同行させ、母乳での育児を続けたいと特例を訴えていましたがこれを認めてしまうと、『乳児じゃないとだめなのか。未就学児の子供も認めてほしい』という声も出てくるでしょう。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は競技会場内の酒類の提供を提供していましたが、批判が殺到して販売と持ち込みを禁止にした経緯があります。方針がすぐにブレるので、国民の不信感も高まる。乳児の入国も以前から議論になっていただけに、この時期に変更するのは場当たり的な対応と言われても仕方ありません」(通信社の運動部記者)

 乳児帯同が可能になったことで、東京五輪に参加する女性アスリートが増える可能性がある。一方で、組織委員会の方針に不満の声も。女子サッカーW杯を2度制覇し、五輪の金メダルも獲得しているサッカー女子米国代表のアレックス・モーガンは組織委の方針を自身のツイッターで批判した。モーガンは1歳になる娘がいるが、「『必要に応じて』が何を意味するのか分からない」と投稿。「それを母親が決めるのか、国際オリンピック委員会が決めるのか? 私たち五輪に出る母親はそれが『必要』なのだ。7日後に出発なのに、娘を一緒に日本に連れていけるのか連絡はない」と不信感を露わにした。

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