同記者はさらにこう続ける。

「もちろん大谷選手のプレーを嫌う人はいません。彼らは大谷選手がヤンキースでプレーをせず、エンゼルスで成功を収めているという事実を嫌っているだけです。かくいう私も彼がヤンキースでプレーをしてくれることを望んでおり、今年までそのことでイライラしていたことは認めます」と、他のファンと同じ意見を持っていたことも明かした。

 だが、今では同記者も考えを変え、大谷を選手として高く評価している。執筆した記事の冒頭でも「エンゼルスのスターに愛着を感じるのは難しいが、大谷選手の活躍は見ていて楽しいものだ」と述べ、メジャーを代表する選手であることを認めている。

 しかし、「大谷はヤンキースにとって脅威的な存在になるか」という質問に対しては、「彼がライバル選手になることは絶対ありません」とキッパリ。また、「エンゼルスではワールドシリーズを制覇することはないでしょうね。エンゼルスは弱小チームですから」と付け足し、ヤンキースファンとしてのプライドは最後まで譲らなかった。

 このように大谷がヤンキースを選ばなかったことに未練を持つニューヨークのメディアは今でもある。しかし、言い方を変えれば、彼らもまた大谷の活躍が気になってしょうがないのだ。事実、敵地メディアであるヤンキース専門チャンネル『YESネットワーク』も、今回のヤンキースとの4連戦を前に、大谷の活躍に期待するコメントを出し注目をしている。

 大谷は28日に行われたヤンキースとの初戦で26号ホームランを放ち、29日には2打席連続のホームランを打ち、両リーグを通じて単独トップに立った。ニューヨークのメディアは、ますます大谷から目が離せなくなるだろう。(澤良憲/YOSHINORI SAWA)