エンゼルスの大谷翔平選手(写真/gettyimages)
エンゼルスの大谷翔平選手(写真/gettyimages)

 6月30日(現地時間:以下同)、ニューヨークで投打同時出場した大谷翔平。メジャー初となる「1番・投手」で出場したが、初回に2安打5四死球で7失点。1回をもたずに降板という結果に終わった。

【写真】“驚くほど美しい妻”と米で話題になったマー君の奥様はこちら(他7枚)

 この試合は米球界にとっても特別な意味を持つものだった。それも“元祖二刀流”で知られる野球の神様、ベーブ・ルースが所属していたチームと“現代の二刀流”大谷の対決が実現したからだ。

 今季の大谷は連日、数々の歴史的な記録を達成している。例えば、6月23日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦では、20本塁打以上と10試合登板以上という、ベーブ・ルース以来102年ぶりとなる記録を達成した。これに限らず、大谷が今季達成した記録の中にはベーブ・ルース以来のものが数多くある。

 そもそも、大谷はメジャーに移籍する際「ベーブ・ルースの再来」だと現地では言われていた。大谷がメジャー挑戦を表明した2017年当時、米メディアは「投打両立は難しいのでは」という不安の声を上げたが、それと同じくらい「実際にメジャーで二刀流を行った場合、大谷がどのような成績を残すのか」と楽しみにする声も多かった。そしてなにより、大谷がどの球団を選ぶのかは大きな注目を集めていた。

 特にニューヨークのメディアは、前述のようにヤンキースにベーブ・ルースが在籍していたこともあり、大谷のヤンキース入団を強く希望した。もちろん、ヤンキースも大谷争奪戦に積極的に参加したのだが、結果はご存じの通りである。そう、大谷は西海岸のロサンゼルス・エンゼルスを選んだ。

 当時、大谷のエンゼルス入団を知ったニューヨークのメディアが受けたショックは計り知れない。「ヤンキースはオオタニとの契約から脱落」(MLB.com)、「大谷翔平、ヤンキースを拒む」(ニューヨーク・タイムズ紙)や「大谷翔平、ヤンキースを断る」(ニューヨーク・ポスト紙)など大手紙は相次いでその報を伝えた。

 そして、彼らは大谷がヤンキースを断った理由を知り激怒した。その理由とは、大谷が面談前にヤンキースへの契約の意思がないことを伝えたこと、そして、ヤンキースのキャッシュマンGMが明かした「大谷は西海岸か、市場規模が小さい球団を好んでいる」という代理人のコメントだ。メジャーの盟主を自負するヤンキースとニューヨーカーのプライドに傷をつけたとして、ニューヨークの各メディアはメジャー1年目の大谷に対し、数々の恨み節を唱えた。

次のページ