阪神・矢野燿大監督(左)と中日・与田剛監督(右) (c)朝日新聞社
阪神・矢野燿大監督(左)と中日・与田剛監督(右) (c)朝日新聞社

 1年1年が勝負となるプロ野球の世界だが、特に今年が勝負の年となっている監督がいる。それがともに3年契約の3年目を迎える矢野燿大(阪神)と与田剛(中日)の両監督だ。これまでの2人の指揮官の戦いぶりを振り返りながら、来年以降の続投の可能性を探ってみたいと思う。

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 まず着実に結果が出ているように見えるのが矢野監督だ。2016年から2年間は一軍のバッテリーコーチ、2018年は二軍監督を務めた後に内部昇格という形で一軍の監督に就任。1年目の2019年は前年最下位に沈んだチームを3位に浮上させ、クライマックスシリーズでもDeNAを破りファイナルステージ進出を果たした。2年目の2020年も巨人に独走を許したものの、最終的には前年を上回る2位でシーズンを終了。そして今年は開幕から順調に勝ち星を重ね、2005年以来となるリーグ優勝に向けて首位を快走している。

 矢野監督の手腕で光るのがこれまでのチームの強みを生かしながら、上手く戦力の入れ替えを行っているという点だ。最下位に沈んだ2018年もチーム防御率(4.03)はリーグ2位と投手陣は安定しており、その後も常にリーグ上位を争う投手力を誇るがその顔ぶれを見るとこの3年間で大きく入れ替わっているのがよく分かる。2018年の先発はメッセンジャー(11勝)、岩貞祐太(7勝)、小野泰己(7勝)が勝ち頭で、リリーフではドリス(32セーブ)、藤川球児(21ホールド)、能見篤史(16ホールド)、岩崎優(10ホールド)が中心となっている。

 それが今年の投手陣を見ると先発は西勇輝、青柳晃洋、秋山拓巳、ガンケル、伊藤将司がローテーションの中心となり、勝ちパターンのリリーフはスアレス、岩崎、岩貞、馬場皐輔などが務めている。これだけ選手を入れ替えながら成績を伸ばしているというのは見事という他ない。FAで西が加入し、外国人選手の“当たり”が多いというのは幸運だったかもしれないが、その戦力をしっかり生かしているのは矢野監督の手腕によるところが大きいと言えそうだ。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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矢野監督は攻撃面でも手腕発揮