また、この番組では、一発屋芸人のコウメ太夫を何度も呼び、素顔で出演させるなどして、再評価につなげている。

 ほかにも「有田P おもてなす」(NHK総合)や「賞金奪い合いネタバトル ソウドリ~SOUDORI~」(TBS系)のような芸人の新境地ややる気を引き出す番組を立ち上げ、お笑い界を活性化させようとしてきた。

 そんな姿を見るにつけ、これからしばらくのバラエティーはこの2人にかかっているのでは、という気がしてくる。ビートたけしやタモリ、明石家さんまのビッグ3やダウンタウン、ウッチャンナンチャンの第三世代の次を担う存在に思えるのだ。

 年齢は有田が3つ上だが、世に知られるのは有吉が早かった。ただ、その芸風はわりと似ている。いわば「愛ある無茶ぶり」が得意で、芸人たちの特性を踏まえつつ、面白く転がすのである。

 違うのは、自分自身の出し方、見せ方だろう。有吉は素で、有田は型を作りながらやっている。

 なぜそうなるかというと、有吉の場合、天国から地獄へと落ち、そこからはい上がってさらなる高みに上り詰めたという稀有な芸人だからだ。たけしなどと同様、劇的な芸能人生に畏敬の念を持たれているので、素のまま何をやっても許されるところがある。本人も自分をさらけ出すことに怖さがないのだろう。

 だからこそ、再ブレークのきっかけとなったあだ名芸も成立した。そこにはもともと、シニカルで冷静なキャラだというのもプラスに作用している。猿岩石としての人気絶頂期、共演した東野幸治から「お前、目、死んでんなあ」と指摘された話も、いずれ落ちぶれることを見越して貯金していた話も、今となってはうなずけるところだ。

 そういえば、アイドル的な売れ方をして遠回りをした分、そこが肥やしやハクにつながっているということ自体、人生の「貯金」といえる。そのおかげで、彼は生番組でもギリギリを攻めることができる。「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)のコーナー司会をしていた頃、陣内智則を毎回のように藤原紀香ネタでいじっていたのはなかなかの見ものだった。

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「何かあれば面白くする」という有吉