ロハス・ジュニアとディクソンは現在のチーム状況を考えるとプラスアルファという戦力だが、調子を上げてもらわなければ困る存在と言えるのがソフトバンクのグラシアルとデスパイネの2人だ。グラシアルは開幕から4番を任されて打率も3割を超えるなど順調なスタートを切っていたが、5月8日の西武戦で帰塁した際に右手を骨折して戦線離脱。現在もファーム施設でリハビリを続けているが、まだ実戦復帰を果たしていない。

 一方のデスパイネは開幕から調子が上がらず、5月下旬にはキューバ代表として出場した東京五輪予選で左肩を痛めて二軍での調整が続いている。キューバのメディアに対しては今季終了後には日本を離れることをほのめかす発言をしたとも言われており、モチベーションの面も気がかりである。昨年も故障でともにフルシーズンの活躍はできなかったが、グラシアルはシーズン終盤に爆発的な成績を残し、デスパイネも日本シリーズで満塁ホームランを放つなどその存在感はさすがというべきものがあった。

 現在チームは得点力不足に悩んでおり、東京五輪にも日本代表として柳田悠岐、栗原陵矢、甲斐拓也の主力3人が招集されることを考えると、打線の底上げは必要不可欠である。そういう意味でも実績のあるグラシアル、デスパイネの復調がチームの命運を握っていると言えそうだ。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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