一つ意外だったのが、大学球界で最も注目度の高い東京六大学出身の選手が苦戦しているという点だ。過去には高橋由伸(慶応大→1997年巨人1位)が1年目から19本塁打、打率.300をマークしてその後も不動の中軸として活躍しているが、今回ピックアップした広瀬、喜多、後藤、武内、伊藤、岩見、中山の7人はいずれも期待された通りの活躍を見せていない。

 一方で柳田、山川、大山といったいわゆる地方大学出身のスラッガーはチームの中軸へと成長している。注目度の低いリーグでそれだけ高い評価を得たという点もありそうだが、スラッガーに関しては主要リーグだから安心というわけではなさそうだ。

 改めて佐藤の成績を見てみると71安打、19本塁打、打率.281となっており、このペースでいけば1年目の成績では過去20年間でトップの数字となる可能性は極めて高い。いかに佐藤がルーキーとして規格外の成績を残しているかがよく分かるだろう。

 今後は1968年に長嶋茂雄(立教大→巨人)が記録した153安打、29本塁打、打率.305、1969年に桑田武(中央大→大洋)が記録した117安打、31本塁打、打率.269という数字にどこまで迫れるかが話題となりそうだ。更に牧秀悟(DeNA)も73安打、11本塁打、打率.287と見事な成績を残しており、歴代の大学生スラッガーではトップクラスとなる可能性を秘めている。この2人の活躍に触発されて、来年以降も大学球界からプロを代表するようなスラッガーが多く輩出されることを期待したい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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