Q 「刺し身」は、なぜ「切る」ではなく「刺す」なの?
A 何の魚かわかるように尾ヒレを身に刺したから

 昔は、切り身を見て何の魚かわかるように、その魚の尾ヒレを身に刺して盛りつける習慣があったといわれています。そこから、刺し身という言葉が生まれました。また、「切る」という言葉は縁起が悪いとされ、代わりに「刺す」を用いたともいわれています。こうした宗教上の理由や、不吉なことを連想させるなどの理由で避けられた言葉、またはその代わりに用いられた言葉を「忌み言葉」といいます。

Q 「虫が好かない」ってどんな虫?
A  体にすみ着くとされる9匹の虫

 中国の三大宗教の一つに道教があります。その教えによると、人体には人を監視する3匹の虫がいるといいます。江戸時代の日本では、この3匹の虫に仲間の虫が3匹ずついて、合計9匹の虫が体の中で快・不快、上機嫌・不機嫌などの感情を引き起こすと考えられていました。「なんとなく気に入らない」という感情も、この虫が引き起こすと考えられ、「虫が好かない」というようになりました。ほかに「虫のいどころが悪い」「虫酸(むしず)が走る」「虫の知らせ」なども同じ虫がもとになっています。

Q 「スッパ抜く」の「スッパ」って何?
A 忍者を表す「素っ破」「透破」のこと

 戦国時代、武家に雇われた忍びの者を「素っ破」「透破」といいました。忍者はいきなり刀を抜くことから、元は「刃物を出し抜けに抜く」という意味で、現在も辞書にはその意味が載っています。転じて「出し抜いて暴く」「突然、人の隠し事などを暴く」という意味になりました。

Q 「狼狽」はオオカミと関係あるの?
A 2頭のオオカミが離ればなれになって、慌てている様子を表す

「狼」はもちろんオオカミのことですが、「狽」もオオカミの一種です。中国の伝説によると、「狼」は前脚が長く、「狽」は後ろ脚が長いといいます。2頭は常に一体となって歩いており、離れると倒れてうろたえることから、慌てふためく様子を「狼狽する」というようになりました。

Q 「閑古鳥」ってどんな鳥?
A カッコウのこと

 閑古鳥の語源は、「カッコウ鳥」が訛ったものともいわれ、漢字は当て字です。訪れる人がなく、ひっそりしている様子を「閑古鳥が鳴く」というのは、カッコウが森の奥の静かなところで鳴くためとも、鳴き声が寂しげに聞こえるためともいわれています。

Q 「揚げ足をとる」って、何の足をとるの?
A 相撲や柔道で、技をかけようとした足

 ここでいう「揚げ足」とは、相撲や柔道で相手が技をかけようとして、浮かせた足のことです。この「揚げ足」をとって逆に相手を倒す様子から、言葉尻や言い間違いをとらえて相手を責めることを「揚げ足をとる」というようになりました。

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「八百長」は「八百屋の長兵衛」からきている