「M-1」も「R-1」も制し、若くして“天才芸人”と言われ続けたエリート芸人・粗品。一方でギャンブル好きを公言し「貯金残高は717円」との発言も。松本人志からは「納税は大丈夫か?」と心配されたほどだ。民放バラエティー制作スタッフは言う。

「たしかに、粗品さんはエリート芸人に思われがちですが、実はとても昭和な香りのする破天荒な芸人の素質も持っています。なので、今回の怒りも粗品くんらしいのですが、周りの反響を見ると少々言い過ぎた気もします。以前、オリラジの中田さんが松本人志さんを批判して問題になったこともありましたし、それが直接の引き金になったかどうかはわかりませんが、結局中田さんは吉本をやめてYouTuberになりましたよね。粗品さんも『しもふりチューブ』はチャンネル登録者数136万人、個人チャンネルも34万人と大人気ですから、すでにYouTubeの収益だけで食べていける状態です。吉本から怒られても、テレビを干されても、食っていけるという自信があるからこそ、こういう発言ができるんだと思います」

■音楽の才能も一流

 今回、批判した相手が“売れない先輩”だったから大問題にならなかったものの、このまま歯に衣着せぬ発言をし続けると思わぬ災難に見舞われるかもしれない。

「バラエティー界において第7世代は絶大な人気ありますが、お笑いのクオリティーはさほど高くない。ブームがすぎれば、生き残れるのはそこまで多くはないはずです。バラエティー界は団体芸なので、批判するにしても“愛のあるディスり”にしないと、いくらエリート芸人とはいえ不利な状況に追い込まれる可能性はある。売れているからこそ、もう少し冷静になるべきだと思います」(前出のスタッフ)

 一方、お笑い評論家のラリー遠田氏は粗品の発言について好意的にとらえている。

「粗品さんは表面的には過激なことを言っているように見えることもありますが、しっかりした考えに基づいて発言していることがわかるので、嫌な感じはしません。仮に、もっと実力のない芸人がやたらと先輩にかみついていたとしたら、それは気持ちのいいものではないかもしれません。でも、粗品さんは『M-1』『R-1』を制した文句なしの実力者であり、マルチな才能を持っています。自分の感覚に自信があるからこそ、堂々と強気の発言ができるのです。今では大物と言われるような芸人も、若手の頃には過激な発言をしていたことはあります。当たり障りなくお行儀よく振る舞う芸人が増えているからこそ、粗品さんのような大物の片鱗を漂わせている芸人が目立っているだけだと思います」

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粗品が持つ「驚異の二面性」