シンガポールに拠点を置く「ゲンティン・シンガポール」とパチンコの大手メーカー「セガサミーホールディングス」と「鹿島建設」の連合と、中国のマカオを中心に事業を展開している「メルコリゾーツ&エンターテインメント」と「大成建設」の連合だ。今夏には事業者が選定され、秋にはIR誘致の具体的な候補地も決めるスケジュールとなっている。

「カジノ誘致については当選後、世論の推移を見極めながら考えていこうと。市民が誘致に反対している山下埠頭ではなく、瑞穂埠頭でカジノをやると言えば、誘致できるのではないか、という理屈も考えているようです。横浜の有力者も『どうしてもカジノをやりたいんであれば、 瑞穂埠頭にある米軍施設、ノースドックの敷地内にすればいい』 と話しているそうです。菅首相としては、よくわからない人が市長になるよりも、気脈の通じた小此木氏の方が、その後のIRの扱いも含め、調整しやすいと考えたのだと思います」(同前)

 対する郷原氏は争点のIR誘致問題についてどう公約を打ち出すのか。

「大金を投じて、IRを誘致。日本人がとばくで負けたカネで税収をアップさせる、地域活性化なんて、そんな時代ではないし、手法も反対だ。横浜市民がカジノで負けて失うカネも膨大になると思われます。断念となったが、米軍跡地へのテーマパーク誘致構想でもわかるように箱ものありきの政策では未来がない。コンパクトな横浜市を目指す考えだ。しかし、IR誘致は林市長の方針に横浜市議会も賛成して進んでいる。市議会にもキチンと責任があることを明確にするため、IRをやるやらないに、民意を反映させるために住民投票条例を制定し、市民の意見を聞いて判断することを公約にする。民意の確認には直接民主主義の住民投票条例が最適だと考えている」(郷原氏の支援者)

 郷原氏が横浜市長選に意欲を示すのはもう一つ理由があるという。菅首相は横浜市議を経て国政に進出し、衆院神奈川2区が地盤だ。

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菅首相のNOを突き付けたい