青木自身、2012年にメジャーリーグへ移籍するまでは「喜怒哀楽を出すのは『悪』だと思っていた」という。ところが異国でプレーすることによってその意識は変わり、ヤクルトに復帰してからは「悔しかったら悔しいでいいし、嬉しいなら嬉しいでいい。そういうのがファンに伝わると思ってるし、チームの士気を上げると思っている」と、ストレートに感情を出すようになった。今年からキャプテンになった山田も、まだ多少控えめかもしれないが、そのスタイルを受け継いでいると言っていい。

 昨年までは「僕は率先して何かをやるタイプではない」と公言していたが「立場が人をつくる」ともいわれる。今の彼には、キャプテンとしてチームを引っ張ることも、1つのモチベーションになっているのかもしれない。

 そして、山田にとってもう1つの大きなモチベーション。それがいよいよ1カ月後に迫った東京オリンピックである。昨年の開幕前、本来であれば数カ月後に開催されるはずだった東京五輪について、彼はこんなふうに話していた。

「もちろん出たい気持ちはあります。ワールド・ベースボール・クラシックやプレミア12にも日本代表で出させてもらいましたけど、オリンピックには特別な思いがありますから」

 本格的に野球を始める以前、幼い頃にサッカー、水泳、体操、空手とさまざまなスポーツに親しみ、オリンピックという大会自体に憧れていたという山田には、五輪は特別な舞台。しかも自国での開催となれば、なおさらだろう。代表メンバーに内定した今月16日、あらためて喜びを語った。

「もう素直に嬉しいです。それを目標に、モチベーションに頑張ってきた1つでもあったので嬉しいです。そういうところ(自国開催の五輪)でプレーできるっていうのはなかなかできない経験だと思いますし、そこは誇りに思って頑張りたいなと思います」

 ただし、プロ野球はまだペナントレースの真っ最中。五輪代表に内定した際、山田も「(代表に)選ばれましたけど、シーズンも大事になってくるんで、しっかりそこでも結果を出して、自分の調子を上げていきたいなと思ってます」と話している。

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五輪出場もモチベーションに