インフルエンサーは「影響を与える人」という意味で、フォロワーの行動を左右する人、意思決定に関わる人が該当します。例えばYouTuberやインスタグラマーが動画や写真で紹介した商品やサービスを購入したり、Twitterで有名になった場所を訪れたり、SNSで勧められた漫画や本やアニメを見たり、TikTokで人気の曲をダウンロードするなど、SNSが行動のきっかけになることは、意外と多いものです。

 かつては、商品購入のきっかけは広告などがメインでしたが、 AmazonなどのECサイト(通販、オンラインショッピング)が普及してからは、「消費者のコメントや評価」が購買に大きく影響するようになりました。情報の発信源が売り手だけでなく、買い手にもなったのです。服や化粧品はもちろん、車や不動産に到るまで、良いイメージだけを発信する売り手発信の広告より、本音の発信が多い買い手発信の情報が大いに重視されるようになりました。

 さらに、YouTubeやインスタグラムなどのSNSが普及すると、匿名だった「消費者」が「名前や顔や普段の投稿が公開されている人」となり、インフルエンサーと呼ばれる存在となりました。インフルエンサーは、いわば「擬似的な知人」であり、まるで”情報通で世話焼きの知人”のように、オススメな商品やサービスを紹介してくれる存在です。インフルエンサーは、自分のYouTubeチャンネルやInstagramやTikTokのアカウントを持ち、動画や写真などのコンテンツを発信します。それらのコンテンツを通してフォロワーに影響を与えるのが、一般的なインフルエンサーでした。でした、と過去形で書いた理由は、コンテンツを持たない新たなインフルエンサーが登場しているからです。今回は、この新しい形のインフルエンサーについて解説します。

「ビットコイン」という仮想通貨は、アメリカの電気自動車大手テスラのCEO、イーロン・マスク氏のツイートにより価格が乱高下しました。

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