ところが、「バブル崩壊後は景気が悪くなったこともあって、キャンプ人口はずっと下がっていったんです。それが底を打ったのが2010年ごろで、以後、少しずつ増えてきた」(堺さん)

 理由の一つは、団塊ジュニアが子育て世代となり、キャンプを楽しむファミリー層が増加したこと。

 さらに各地で野外音楽フェスティバルが開催されるようになり、宿泊施設不足を解消するため、臨時にキャンプ場が開設されるようになった。いわゆる「フェスキャン」だ。

「フェスキャンがきっかけで、それまでキャンプをしたことのなかった人がキャンプに興味を持つようになったというのも要因としてあるんですね」(同)

 堺さんがもう一つ挙げるのは、近年のインターネットによるキャンプ情報の広まりだ。それによってキャンプ人口が増えただけでなく、キャンプのやり方も多様化しているという。

■ネットでキャンプが多様化

「昔、グループでキャンプをする際は、事前に集まって準備をしたりしましたけれど、いまはSNSで『キャンプに行きたいんですが、何月何日、ここに集まりませんか』と発信して、ぜんぜん知らない人が集まってキャンプをするとか。キャンプに対する価値観がすごく多様化してきている。そういう変化もあって、いろいろな人がキャンプに行くようになった、ということでしょうね」

 ただ、キャンプ場の利用客の中心がファミリー層なのは、昔もいまも変わらない。

「でも最近は、家族キャンプをしている層でも、お父さんが一人だけで『今日はソロで行く』とか。女性でソロキャンプを楽しまれる方もいらっしゃいます。集まり方だけじゃなくて、キャンプのスタイル、楽しみ方もすごく多様化している」(堺さん)

 つまり、キャンプ人口が膨れ上がっただけでなく、多様化によって、従来の愛好家以外にも、さまざまな人たちがキャンプ場にやってくるようになった。前出の依田さんも、こう指摘する。

「残念なのは、その一部の人たちの迷惑行為です。せっかく、自然のなかに行ってゆっくりキャンプして過ごそうと思っていた人たちが嫌な思いする。それはやはり、絶対に避けたい」

■管理体制のあまさが原因

 では、実際にキャンプ場を運営する側はマナー問題についてどう見ているのか?

 前回のキャンプブームから業界をよく知るForesters Village Kobitto代表取締役の鷹野好男さんは、「新規のお客様が増えてくれば、こういう問題が出てくるのは当たり前」と、淡々と語る。

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