わずか1年の間に3球団を転々とした青木は、これでメジャー在籍7球団。日本人選手では野茂英雄(元ドジャースほか)と並ぶ最多記録となった。それでもブルージェイズで.281(12試合)、メッツでも.284(27試合)と、チームが変わってもそれまでとほとんど変わらない打率を残しているのは、さすがというほかない。

 シーズン終了後にはメッツをリリースされ、FA市場の歴史的な停滞を受けて新たな所属球団が決まらないまま、翌2018年の春季キャンプ中に3年契約でヤクルトへの復帰を発表。2020年オフには新たに総額10憶円(推定)の3年契約を結び、日米通算2500安打を達成した今は、「3000」も視野に入れている。

 日本では当たり前のように打率3割をマークしていた青木が、メジャー6年間で一度も3割を打てなかったことは、あらためて日米の“格差”を感じさせるものだった。とはいえ先に紹介したとおり、メジャー通算打率.285は歴代の日本人選手でもイチローの.311に次ぐ2位。日本で首位打者に輝いた秋山翔吾(レッズ)、本塁打と打点の二冠王にもなった筒香嘉智(ドジャース)が海を渡って苦労している現状を見ても、「メジャーリーガー青木」はもっと評価されていいように思う。(文・菊田康彦)

●プロフィール
菊田康彦
1966年生まれ。静岡県出身。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身。2004~08年『スカパーMLBライブ』、16~17年『スポナビライブMLB』出演。プロ野球は10年からヤクルトの取材を続けている。