PDCAを回しながら知識やスキルの質を上げるプロセスは、受験勉強はもちろん、日常生活や趣味などあらゆる場面で使うことができる。その際に忘れてはいけないのが、PDCAは実行する本人が考え、行動してこそ効果を発揮するものであり、他者からの強制は厳禁ということだ。

「スケジュールシートの作成も、親のサポートは学期の初めや夏期講習の前など、生活や勉強のペースが変わるタイミングの1、2度で十分でしょう。そもそもこの年齢の子どもは、親がうるさく言えば、かえって反抗します。少しアドバイスをしたいという場合は、まずは子どもの意見を聞いてから『それだとちょっと間に合わないんじゃない?』とか『前はこういう感じでうまくいかなかったけど、今回は大丈夫?』とやんわり問いかけるのがコツです」(清水さん)

 中学受験で経験した「自ら学ぶ」楽しさや、PDCAのスキルは、受験後の人生でも役に立つ。何より、家族とともに頑張った日々は一生の思い出になるだろう。清水さんはこう振り返る。

「受験が終わった日に、娘が『サポートしてくれてありがとう。楽しかったよ』と言ってくれたんです。志望校合格はもちろんうれしかったのですが、この言葉は宝物になりました」

◆清水久三子/(株)AND CREATE代表取締役社長として企業研修、経営・人材育成コンサルティング事業に携わる。著書に『働くママの成功する中学受験』(世界文化社)ほか。

(文/木下昌子)

※AERAムック『偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び2022』より

偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び 2022 (AERAムック)

朝日新聞出版

偏差値だけに頼らない 中高一貫校選び 2022 (AERAムック)
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木下昌子
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