男子は南アフリカ、アメリカに勝利できる可能性が高い。また、ギリシャとはリオデジャネイロ五輪で試合終了直前に同点にされてしまった因縁の相手でもある。この3国に勝利し、決勝トーナメントへの道を切り開きたいところ。

 女子は強豪揃いの、いわゆる地獄のグループに入ってしまった。だが、中国とは2年前のFINA世界選手権(韓国・光州)で対戦した際に2点差で敗北したものの、内容的には十分に勝負できていた。当時の敗因のひとつでもあったスタミナ強化が実を結べばチャンスはある。

 選手に目を向けると、代表チームのエースで国際大会でも何度も得点王に輝いた経験を持つ稲場悠介(ブルボンウォーターポロクラブ柏崎)や、稲場に負けないトリッキーなシュートで相手を攪乱する足立聖弥(Kingfisher74)らに注目したい。彼らは海外プロリーグでも活躍しており、実力は世界からも折り紙付き。

 女子も山本実乃里(秀明大学水球クラブ)がオーストラリアでプレー経験があり、156cmの小柄ながらそのパワーは海外選手にも引けを取らない。また、有馬優美(藤村)は2019年のFINA世界選手権で18得点を挙げた、チームの要とも言えるポイントゲッターだ。

 水球はそのプレーの激しさから水中の格闘技と呼ばれることもある。だが、男女ともに体格差のある海外選手たちに、格闘技のような戦い方をしても勝てるわけがない。そこで、冒頭の大本ヘッドコーチの言葉である。

 相手と真っ向勝負するのではなく機動力を生かし、まるで忍者のごとく相手を攪乱し、疲れさせたところで一気にたたみ掛ける。そんな“忍者スタイル”で、強靱な体躯を持つ海外選手たちを叩きのめす。そんなスリリングで手に汗握る展開を見せてくれることこそ、水球の面白さであり東京五輪での見どころになるだろう。

 水球は7月24日(土)からグループリーグが、8月3日(火)から決勝リーグが開始され、7日(土)に女子が、8日(日)に男子のメダルが確定する。日本が果たしてどこまで勝ち進めるのか、注目したい。(文・田坂友暁)