チーム防御率も吉井コーチが日本ハムで2度目の就任をした16年は、前年の15年がリーグ3位(3.62)だったものが、リーグトップ(3.06)に。17年はリーグ4位(3.82)となったが、18年はリーグ2位(3.77)に改善している。ロッテでも就任前のシーズンがリーグ5位(4.04)だったものが、コーチとなった19年にリーグ4位(3.90)、昨年はリーグ2位(3.81)と徐々に向上している。選手の出入りもあり一概にコーチだけの手腕とは言えないが、数字的にはしっかりと結果を残しているのは間違いないだろう。

「経験豊富なだけでなく技術向上に関しても貪欲で理論派。親しみやすい性格に加えて、投手の気持ちを大事にするコーチ。自分の経験だけを押し付けるのではなく、投手に寄り添って適切なアドバイスをしてくれる。ダルや大谷とも、お互いにリスペクトし合う良好な関係を築いていた」(日本ハム関係者)

「投手を守るコーチ。登板間隔や球数など、少しでも無理がかかると思ったら投げさせない。メンタル面のケアも忘れない。選手から聞いてこない限りは、自分の考えの無理強いもしない。若い世代との年代差ギャップを感じさせない、優しくて面白い“おっちゃんキャラ”。投手陣はやりやすかったはず」(日本ハム担当記者)

 現役時代は、日米通算23年間で121勝62セーブを記録。先発、抑えの両方で活躍し、多くの修羅場をくぐった経験を持つ。またコーチをしながら筑波大学大学院で野球指導に関するコーチ理論を学び、修士(体育学)の学位を取得。野球界の理想の姿を求め結果にもつなげている。新世代のコーチとして最も評価されている1人だ。

「二木康太、小島和哉、岩下大輝……。ロッテの若手投手の成長は吉井コーチの手腕が大きい。佐々木朗希をじっくり育成できるのもそう。投手を守るため監督やフロントにも意見するため、ギクシャクすることもある。それが日本ハム退団の原因の1つだとも言われている。しかし井口資仁監督はメジャー経験もあり議論は当然だと考えている。非常に良い関係性です」(ロッテ担当記者)

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暗黒時代到来の予感も…