では、海外組以外で注目される代表は誰になるのだろうか?まずその筆頭として挙げられるのは、千葉ジェッツふなばしの富樫勇樹だろう。



 今季の富樫は、司令塔としてチームを初のBリーグ制覇に導く活躍を見せた。57試合に出場し1試合平均13.8得点、5.6アシストを記録。167cmという身長ながら、正確なアウトサイドシュートや突破力、パスセンスは国内屈指で、今ではBリーグの顔という存在に成長している。それを象徴するように、年俸は国内バスケ界日本人最高の1億円。日本代表のオフェンスの起点となるだけに、八村や渡邊らをどう使うかも興味深い。

 特にNBAコンビがコートにいる時は、富樫にも得点のチャンスが大きく広がる。相手ディフェンスは、当然ながらインサイドにいる2人のマークを徹底するはずで、そうなると外にいる冨樫がフリーになる確率が高くなる。富樫は昨季の3Pシュート成功率が38.2%とロングシュートも得意としており、平均得点は外国籍、帰化選手を除くと金丸晃輔に次ぐ2位。得点力のあるポイントガードとして日本のオフェンスのキーマンの一人となるはずだ。

 田中大貴もバックコートで富樫と同様の活躍が期待される。所属するアルバルク東京ではシューティングガードとしてプレーしているが、日本代表ではポイントガードとして起用される予定だ。

 というのも日本のポイントガード陣は、167cmの富樫、178cmの篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)と身長が180cmに届かないが、世界各国は190cmを越える司令塔がゴロゴロいるし、2m台もいる。田中の身長は192cm。ボールコントロールも上手く試合が作れる田中にポイントガードとして白羽の矢が立つのは当然と言えば当然なのだ。実際、2019年夏以降の代表戦では「1番」をこなしており、五輪では田中のゲーム作りも勝敗を左右する可能性がある。

 ビッグマンではシーホース三河のシーファーアヴィ幸樹に注目したい。昨季は出場した55試合全てで先発を務め、9.5得点、4.7リバウンドのアベレージを残した。日本のインサイドは八村、渡邊以外だとギャビン・エドワーズ(千葉ジェッツふなばし)、ライアン・ロシター(宇都宮ブレックス)が中心となるが、帰化選手の後者2人で代表に残れるのは規定により一人だけ。となると、22歳のシーファーアヴィのステップアップは、日本のインサイドにとって欠かせないものとなるだろう。

 果たして史上最高の日本版「ドリームチーム」は、地元開催の五輪でどんなプレーを見せてくれるのか?今からティップオフが楽しみでならない。(文/田村一人)