お笑い芸人のいとうあさこ(写真=事務所提供)
お笑い芸人のいとうあさこ(写真=事務所提供)

 お笑い芸人・いとうあさこ氏は内村光良のある言葉で、「自分らしく頑張ればいい」と気付かされたことがあるという。

【写真】「理想の上司ランキング」女性部門の1位はこの人

 理想の上司ランキング、男性部門で5年連続第1位のウッチャンこと内村光良の“上司力”に迫った書籍『チームが自ずと動き出す 内村光良リーダー論』(朝日新聞出版)。関係者への取材を重ねた著者の畑中翔太が、リーダー内村を分析する本連載。

 第10回目のテーマは「素直に人を見る」。

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 一般的に「よきリーダーの条件」の一つに、部下の才能や能力を見いだし、伸ばすことが挙げられる。内村はそれを無意識的に、そしてとても上手に実践している。
 
 テレビなどの収録現場における内村は、後輩芸人や出演者の発言やボケに、とにかく「よく笑う」。しかもそれは決してMCや先輩の目線から笑っているのではなく、常に“家のリビングにいるお父さん”のようにただただ笑う。
 
 芸人同士であれば、心のどこかで「笑いを取る」ということにライバル心が働くもの。しかし内村には今のポジションに限らず、とがってギラギラだったであろう若手時代の頃から“それ”がなかった。

 彼は誰が、どんなことを言っても、それがおもしろければ「笑う人」だった。年齢を重ねるにつれて、丸くなっていったのではなく、最初からそうだというのだから驚く。

 内村と古くから付き合いがあるケイマックスの飯山直樹氏もこう指摘する。

「多分、他人に対してうんぬんに気持ちが向いてなくて、常に自分がライバルなんですよね。だから、おもしろいことにはおもしろいねって言っちゃえるんだと思います。で、満足はしない人です。満足しないのも、誰かに対するものではなくて、自分に対することだけ。倒すべき相手とか、ハードルも全部自分」
 
 このような姿勢を内村が取れるのは、彼が他人のパフォーマンスというものに対して、常に「素直である」ことによるものが大きい。内村は芸人としてのライバル心が、「他者」ではなく「自分」に向いているため、それを作り出した人が誰であっても、常に「笑い」というパフォーマンスに対して素直でいられる。
 

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内村の持つ「才能を発掘する」力