だが、Bellatorでは怒涛の勢いで勝利を重ねている。参戦2戦目に同団体の元ライトヘビー級王者リアム・マギリー(イギリス)を3R TKOで撃破して連勝を飾ると、その後連勝を4まで伸ばし、5戦目で早くもタイトルマッチの機会を得る。その試合では、UFCでも実績十分の王者ライアン・ベイダー(アメリカ)を右ハイキックからのパウンドで退け、5連勝でBellatorの王者まで駆け上がった。今年4月の試合では初防衛に成功しており、今も現役のチャンピオンとして君臨し、Bellatorのパウンド・フォー・パウンドのランキングでも2位につける世界的なファイターとなった。

 今思えば、“未来のUFC王者”プロハースカと、Bellatorの現役王者ネムコフが日本のリングで戦っていたのは非常に感慨深い。2人が拳を交えたのはRIZINの旗揚げ興行となった「IZAの舞」でのヘビー級トーナメント準決勝。対戦時は2人とも知名度は低く、日本でも決して話題になることはなかった。

 プロハースカとネムコフに共通するのは2人とも東欧の出身ということ。リングスを立ち上げ、エメリヤーエンコ・ヒョードルを筆頭にロシアなどから世界の強豪を日本に連れてきた格闘王・前田日明氏も、自身のYouTubeチャンネルで、ロシアなど東欧には世界を獲れる可能性のある強豪がまだまだいると語っていた。プロハースカとネムコフの出世ぶりを見ても、ロシアなど東欧には“まだ見ぬ強豪”が多く潜んでいるのかもしれない。

 他には、RIZINには1試合(判定勝利)のみの参戦だが、UFC移籍後にアンドレイ・アルロフスキー(ベラルーシ)、ジュニオール・ドス・サントス(ブラジル)という元ヘビー級の王者を下したジャルジーニョ・ホーゼンストライク(スリナム)という選手もいる。UFC参戦4試合目には日本でも活躍した元DREAMチャンピオンのアリスター・オーフレイム(オランダ)を5Rの末に撃破。現ヘビー級王者のフランシス・ガヌー(カメルーン)には秒殺されるなど、頂点には立ててはいないが、世界のトップ戦線で戦うファイターの一人だ。

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のちのUFC王者は参戦予定も…