「押っ取り刀」
→刀を勢いよくつかんだまま腰に差さずに急行する

「おっとり」という読みから弱々しい刀をイメージしがちですが、漢字表記にあるように刀を「押し取る」ことが由来です。勢いよくつかみ取ることを、押し取るから転じて「押っ取る」といいます。武士が緊急の際に、刀を勢いよくつかんだまま腰にも差さず急行する様子から、取るものも取りあえず駆けつけるさまを「押っ取り刀」というようになりました。

「裏をかく」
→刀や槍などの武器が鎧の裏側まで届くこと

 ここでの裏は、鎧の裏側のことです。鎧が万全であれば刀や槍などが裏まで達することはありませんが、不備があると貫かれてしまいます。そこから、相手の油断をつくこと、計略を出し抜くことの意味になったといわれています。

「手薬煉(てぐすね)を引く」
→弓の弦に薬煉(くすね)を塗って戦いに備える

「薬煉」とは、松脂(まつやに)を油で煮て練り混ぜたものです。粘着力が強く、弓の弦に塗って補強したり、滑り止めに用いたりします。「手薬煉を引く」とは、戦いの前に手で薬煉を塗って弓をいつでも使えるように準備しておくことを表し、そこから転じて十分に用意して敵を待ち受ける意味になりました。

「伸るか反るか」
→矢がまっすぐ伸びるか反ってしまうかは運次第

もともとは、矢づくりで用いられていた言葉です。矢をつくる際には、材料となる竹を型にはめて乾燥させます。このときに、竹がまっすぐ伸びるか、反ってしまうかは型から出してみないとわからないことから、一か八かの意味になったといわれています。ほかに、博打の用語で勝つか負けるかを表す「乗るか逸るか」が由来とする説もあります。

「竹刀」
→弾力があって曲がる意味の 「撓(しな)う」が語源

 もともとは「撓い竹」だったものが略されて「しない」となり、竹製の刀であることから「竹刀」の字が当てられました。「撓い」とは、「撓う」の連用形で、弾力があってしなやかに曲がるという意味です。

「筈(はず)」
→矢の末端にある溝と弦が合うのは当たり前!?

 弓矢を射る際に、矢と弦がずれないように、矢の末端の溝に弦が引っかかるようになっています。この溝を「矢筈」といいます。矢筈と弓の弦が合致するのは当然のことなので、「かならずできるはず」のように当然そうなることの意味を表すようになりました。

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