ひょうきんパフォーマンスでプレー以外でもファンを魅了したラミレス (c)朝日新聞社
ひょうきんパフォーマンスでプレー以外でもファンを魅了したラミレス (c)朝日新聞社

 現役でムードメーカー的助っ人といえば、巨人移籍2年目のゼラス・ウィーラーを思い浮かべるファンも多いだろう。

【写真特集】芸人・ニッチローのイチローモノマネ集はこちら

 昨年シーズン途中に楽天から加入すると、チームメイトのホームランを自分のことのように喜ぶ愛くるしい表情が「ハクション大魔王にそっくり」と話題になり、一躍人気者になった。

 今季も球団歴代6位タイの22試合連続安打を記録するなど、攻守にわたるハッスルプレーを見せ、陽気なパフォーマンスとともに、チームを盛り上げている。

 そして、ウィーラー以前にも、ひょうきんパフォーマンスや圧倒的な存在感でムードメーカーになった愛すべき助っ人たちが存在した。

 一番手として名前が挙がるのが、“踊るホームラン王”こと日本ハムのマット・ウインタースだ。

 1990年から在籍5年間で4年連続30本塁打以上、通算160本塁打を記録した不動の4番は、グラウンドのパフォーマンスでも異彩を放っていた。

 大相撲の曙に触発されてちょんまげのかつらをかぶったり、空手のパフォーマンスを演じるなど、陽気で行動的なウインタースは、91年7月に北九州で行われたダイエー戦で、ビジターにもかかわらず、ベンチ前でチアガールの動きに合わせて、オレンジ色のメガホンを持って、踊る姿が話題になった。その後、両手にポンポンを持ってダンスに飛び入り参加するようになり、9月16日の近鉄戦の試合前には、お得意の手品も披露した。

 翌92年、江戸っ子気質で短気な土橋正幸監督が就任すると、「ドバシさんが怒るからね」とダンスを封印していたウインタースだったが、同年6月4日のダイエー戦で、「ヒサシブリだから」とブーマー・ウェルズのユニホームを借り、ツルツル頭のかつらをかぶって大熱演。走塁練習中に集めた土を水で溶いて顔に塗りたくるという念の入れようだった。

 このほか、雨でノーゲームになった直後、西武のオレステス・デストラーデとヘッドスライディングを披露したり、ユニホームを上下逆さまに来て、逆立ちしながら歩いているように見せかけるなど、ファンを楽しませてくれた行動は、枚挙にいとまがない。

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら
次のページ
“セのエンタメ王”といえば…