「彼とは3年ほどお付き合いしましたが、自分のそうした葛藤が彼の負担になっているのではと感じたんです。どこかで彼に依存しているようで……」

 社会人となって仕事を始めてからも、恋愛に対して前向きになれず、人間関係においても誰かと深く関わったり、いい関係を持続するのが難しかったり、煩わしくさえ感じるようになったという。

「30歳の時には、もう堕落なんてどうでもいいと思いましたね。母に『教義も信じない、2世同士の結婚を受ける気もない』と宣言しました。それでも、自由に恋愛もできない、もしできたとしても、私が育った宗教的な背景を説明しなければいけないだろうし、相手の家族はどう思うだろうか、という不安や絶望感が大きく、生きていくのがしんどかったです」

 それと同時に、友子さんは子ども時代の経済的な困窮が今もトラウマ(心的外傷)になっているという。

「親の経済観念のなさを見て、自分は経済的なリスクを抱えるのだけは避けようとずっと思っていました。両親は今、70歳になろうとしていますが年金も保険料も払ってなかったので足をケガしても適切な治療を受けられないんです。父は高校生の時の私にまでお金を無心してきました。子どもにそんな思いをさせておいて、そんな状況になることも想像できずに無責任じゃないのか、と一時は恨んでいました。ただ、両親もマインドコントロールされていたのだろうと思うので、責める気持ちはありません。母は数年前に『あなたの人生だから好きにしなさい』と言ってくれましたが、今はただ自分の生活は自分の経済力でやっていこうとしか考えていません」

 友子さんが唯一執着するのはお金だけだという。ファッションや旅行、趣味、食事などにはあまり興味が湧かないという。

「誰かとおいしいものを楽しく食べるのも嫌ですし、たまにお金を使うといっても、たくさんお菓子を買い込んでひたすら夜中まで食べまくる、くらいでしょうか。一種の摂食障害なのかもしれません。でも一つだけ、私が生きようと義務感を感じているのは、今一緒に暮らしているネコの存在です。この子のために一生懸命生きようとは思っています」

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