元々の体のサイズが日本人として規格外だが、近年は身長が190cmを超える選手も増えている。大型の選手にとっては大谷の体格は理想的でもある。

「佐々木朗希(ロッテ)が目指すべき体型。(佐々木は)身体はできてきたが胸板や腰回りなどはまだ細い。大谷ほど大きくなくてもいいが良いお手本になるはず。バランス良く身体を作れば身体能力は確実に上がる。メジャー経験があるロッテの吉井理人コーチもわかっているでしょうね」(在京球団編成担当)

 MLB公式サイトの個人ページによると大谷は、身長193cm(6フィート4インチ)、体重95kg(210ポンド)だが、今キャンプでは体重は100kg超だったという声もある。日本ハム入団時からウエイトは増えているが、スピードを失っていないのも強みだ。メジャーでも一塁への到達タイムなど、スピードもトップクラスの数値を記録しているのが度々話題となる。盗塁数も多く、今季は既に9個をマーク。19年に記録した自己最多の12個は優に超えそうなペースだ。

「トレーニングの質が良い。そして関節の可動域が広いのと筋肉の柔軟性があるから。以前は投球時のテイクバック時に右腕が背中側に入ってきた。これは肩甲骨の柔軟性が優れていて、肩などの可動域が広いから。これはダルビッシュ有(パドレス)も同様です。また投打のすべてで言えますが、股関節も非常に柔らかい。怪我が少ない理由の1つです」(在京球団トレーナー)

 スピードを失わないのは身体の柔軟性があるから。そして用具も細心の注意を払うことで全体のバランスを保てるようにしている。TBSラジオ『石橋貴明のGATE7』(6月6日放送)では、大谷のスパイク開発に携わったアシックスの河本勇真さんが、かなり細かいところまで調整し、スパイクを製造していることを明かしている。全てにおいて完ぺきを求めているからこそ、投打でもメジャートップクラスのプレーを実現できるのだろう。

 大きくパンプアップされた肉体に大きな注目が集まるが、水面下ではプロとして徹底した準備がなされている。高い身体能力をパフォーマンスに直結させるため、貪欲にやれることを続けている。

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イチローとは異なった形のストイックさ