――実際に仕事上でLGBT当事者として意見を求められたことは?

 ありました。会社で働いている中で、LGBTの課題に取り組みたいという関連企業さんから相談されたり、勉強会を開催しませんかと言われたり。そういった過程で新しい情報をいただくこともあるので、結果的に自分のプロジェクトにも役立つことになります。

――色々なことがつながっていっていますね。

 新しい情報を得る機会が増えると、それが世の中のニーズをとりこぼさないことにもつながっていくのかなと思います。かつて就活でアピールしたのはそういう可能性だったので、実際にその通りになっているのかもしれません。

 就活は自分のネガティブなことも売り込まないといけません。それはジェンダーの問題に限らなくて、大学を中退したとか、持病を抱えているとか、親の介護があるなど、さまざまな状況があると思います。ジェンダーの問題が取り上げられることによって、そういった多様な状況を生きている方々が自分らしく働ける社会になればいいなと思っています。

(大西夏奈子)

■ プロフィール/サリー楓(さりーかえで)
1993年京都生まれ、福岡育ち。慶応義塾大学大学院卒業後、国内外の建築事務所を経験し、現在は建築のデザインやコンサルティング、ブランディングからモデルまで多岐にわたって活動。その傍ら、トランスジェンダーの当事者としてLGBTQに関する講演会も行っている。パンテーンCM「#PrideHair」起用や「AbemaTV」コメンテーター出演も話題に。自身が出演するドキュメンタリー映画「息子のままで、女子になる」が6/19(土)より渋谷ユーロスペース他全国で順次公開。