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フィクションに現実逃避してしまうと悩む25歳女性に、鴻上尚史が示した「楽しみ」と「依存」の違い

連載「鴻上尚史のほがらか人生相談~息苦しい『世間』を楽に生きる処方箋」

dot.#読書#鴻上尚史

 フィクションが好きでその世界観に浸るのが生きがいだという25歳女性。けれど現実の自分には自信がなく現実逃避ではないかと悩む相談者に、鴻上尚史が差し出した言葉「人生のための作品」の真意とは?

【相談108】小説、漫画、ドラマ、映画、演劇、ラジオドラマが好きで、物語の世界に現実逃避してしまう(25歳 女性 レモン)

 いつも楽しみに拝読させて頂いています。

 私は幼い頃から物語(フィクション)が好きです。小説、漫画、ドラマ、映画、演劇、ラジオドラマなどがほぼ唯一の趣味というか生きがいです。しかし、どこかそれらが現実逃避になっている気がします。

 現実の自分は自信がなく、不器用で、友人も少なく恋人もいません。仕事では新米で努力しないといけないのに、仕事から帰るとフィクションの世界に浸るのが日課になってしまっています。

 その一方で、小学生の頃から今まで、辛いことがあっても物語に希望をもらってここまで過ごしてきたという思いもあります。

 これから年齢や経験を重ね、フィクションを今のように楽しめなくなったとしたら、まるで進歩していない自分に後悔してしまうのではないかと恐ろしいです。

 フィクションにのめり込みすぎず、どのように付き合っていけば良いのか助言を頂きたいです。

【鴻上さんの答え】
 レモンさん。レモンさんの相談は、僕が物語を創り始めて以来、作家としてずっと考えていることです。

 ちょっと僕の話を聞いて下さい。

 僕は、22歳で劇団を結成して、物語を創り始めました。僕が「物語」を作るのは、よりよく生きていくための「手がかり」としてでした。

 つまり、「物語」そのものが目的なのではなく、人生のための「物語」を創ろうと思っていました。

「物語」を楽しむことが最終目的ではなく、「物語」を楽しむことで、自分の人生を照らし出し、よりよく生きようとすることが最終目的だということです。

 ずいぶん後になって、作詞家のきたやまおさむさんと対談した時に、きたやまさんが、自分が求めるのは「人生のための歌であって、歌のための人生ではない」と仰って、膝を千回ぐらい叩きました。


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