竹中氏は6日に読売テレビで放送された「そこまで言って委員会NP」に生出演した際、「世界のイベントをたまたま日本でやることになっているわけで、日本の国内事情で世界に『イベント(五輪)やめます』というのはあってはいけないと思いますよ。世界に対して、『やる』と言った限りはやる責任がある」と主張。落語家の立川志らくが「世論の6、7割が(五輪は)中止だと言っている。世論が間違っているってこと?」と質問すると、「世論は間違ってますよ。世論はしょっちゅう間違ってますから」とコメントして波紋を呼んだ。

 今回の動画の内容についても、コメント欄では「コロナの感染は世界の問題であって、日本の国内事情ではありません。オリンピックを開催する責任??国外からの流入はもちろんですが、日本から世界に拡散させる可能性についてはどうなんでしょうか?日本株なんて世界に言われたらどう責任とるんでしょう?」、「ヨーロッパでのスペイン風邪感染は1920年には収束しつつある状況にあったので開催される要因の1つになったと思われます。参加国29カ国を見ても、欧米が3分の2近くを占めています。つまりスペイン風邪はほとんど影響がなかったと思います。東京オリンピックの参加予定の国・地域は200カ国。はっきり言わせていただきまして比較にならない。その200カ国の中には、感染が収まらない国・地域が多いのが現状」など竹中氏の主張に異を唱える意見が目立つ。

 自民党の関係者は渋い表情を浮かべる。

「竹中さんは先日の『世論は間違っている』発言で、国民にケンカを売ったように映ってしまった。今回の五輪支持の訴えも、火に油を注ぐ形になっている。参加者、参加国の規模が全く違う100年前の五輪でスペイン風邪の時に開催したことを持ち出すのは無理があるし、五輪開催に突き進む政府の援護射撃になっていません。竹中さんが会長を務めるパソナが五輪スポンサー企業であることも、政府と距離が近いという印象を与えて心証が悪い。五輪の開催を望むなら『おとなしくしてくれ』というのが政府の本音だと思います」

 五輪開催まで1カ月半を切った。国民は大きな不安を抱えている。政府には丁寧な説明責任が求められる。(牧忠則)