大きなインパクトを示したスノーフォールに1番人気を譲ったとはいえ、ラブの評価を下げる理由もない。実際、スノーフォールのオッズが5倍前後(※記事内のオッズは6月9日時点のもの)なのに対してラブも7倍前後と差がなく続いている。2頭の次走の結果次第で再逆転は十分にあり得るだろう。

 さらに前売りオッズを確認してみると、2月にダートのサウジカップを制して3月には芝のG1ドバイシーマクラシックも勝った昨年の仏ダービー馬ミシュリフと、昨秋に仏G1ヴェルメイユ賞、仏G1オペラ賞、そして米G1ブリーダーズカップターフとG1を3連勝した4歳牝馬のタルナワが8倍前後で続いている。

 そして仏2000ギニーと仏ダービーの二冠を達成したセントマークスバシリカと、英ダービーを人気薄で制したアダイヤーが10倍前後。この2頭の比較ならば、2着馬が未勝利馬だった英ダービー馬アダイヤー(自身もダービーが重賞初制覇の2勝馬)よりも、仏二冠馬のセントマークスバシリカの方が上だろうか。ただしこの馬はスノーフォールやラブと同じオブライエン厩舎の管理馬のため、使い分けの都合で凱旋門賞に出てこない可能性もある。

 なお今年の凱旋門賞に登録した日本調教馬は全6頭。ドバイシーマクラシックでミシュリフから僅差の2着だったクロノジェネシスを筆頭に、デビュー6連勝で大阪杯を制した新星レイパパレ、同2着の道悪巧者モズベッロ、天皇賞・春で2着のディープボンド、皐月賞とダービーで連続3着だったステラヴェローチェ、そしてリステッドの福島民報杯勝ちのあるマイネルウィルトスだ。

 欧州の各ブックメーカーのオッズを見ると、レイパパレが20倍前後、クロノジェネシスが16倍から22倍と、現時点では伏兵の域を出ていない。両馬が出走を予定している6月27日の宝塚記念の結果次第で彼女らの評価も上下するだろう。

 昨年の凱旋門賞は新型コロナウイルスの影響もあって日本調教馬の参戦はディアドラのみ。今年も状況が劇的に好転したわけではなく、日本馬参戦は見送られるかもしれない。だが仮にそうなったとしても、ディープインパクト産駒のスノーフォールが出走すれば日本の競馬ファンも楽しみが増えるというもの。まだまだ夏から秋にかけて注目度が上がる馬が増えることも予想されるため、秋の本番まで欧州競馬の動向を気にかけておきたい。(文・杉山貴宏)