佐藤輝明選手(写真提供・阪神タイガース)
佐藤輝明選手(写真提供・阪神タイガース)

 開幕から首位を快走している阪神だが、その勢いに陰りが見えている。

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 交流戦は目下、5勝7敗。2位・巨人に3.5ゲーム差をつけているが、守備の綻びが目立つ。チームで計42失策はリーグワースト。個人で見ると、遊撃の定位置をつかんだドラフト6位の中野拓夢がリーグワーストの10失策、大山悠輔が次に多い7失策、木浪聖也が5失策とワーストの5人の中で阪神から3選手が入っている。大山は5月上旬に背中の張りを訴えて登録抹消されているため、43試合出場で7失策。木浪は35試合出場のうち22試合が途中出場で、5失策は多い。

 失策は失点に結び付く可能性が高い。6日のソフトバンク戦(甲子園)は大山のミスが大きな痛手となった。ソフトバンクが3点リードの4回2死で三森大貴の打った打球は平凡な三ゴロ。三者凡退と思われたが、打球処理した大山の一塁への送球が高く逸れ、マルテが捕球できず。この悪送球で三森が出塁し、今宮健太の左前適時打で4点差に突き放された。試合の流れを自ら手放すミスで防げる失点だった。

 大山は三塁の守備が決して下手なわけではない。入団時と比較するとぎこちなかった動きがスムーズになっているように感じるが、課題は送球の精度だ。打球処理した後に上に吹けてしまうような送球が度々見られる。だが、不動の4番として、他に三塁のレギュラーを争う対抗馬もいなかったのでこの課題も、今まで大きく問題視されたわけではなかった。

 だが、ドラフト1位・佐藤輝明の加入で状況がガラッと変わった。佐藤の本職は三塁だが、大山とポジションが重なるため入団後は外野にコンバートした。しかし、大山の戦線離脱後に三塁へ。慣れ親しんだポジションでみせたパフォーマンスは周囲の期待をはるかに上回った。

「一歩目の出足が速く守備範囲が広い。あと驚かされたのは送球です。低く強い軌道で安定している。あの動きなら悪送球の心配がない。三塁は合格点を与えられるというレベルではなく、試合に出続ければゴールデングラブ賞を獲得できる水準です。大山の復帰で右翼に戻りましたが、正直もったいないなとは感じましたね」(他球団のスコアラー)

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