彼らが大谷をここまで推すのには、ここ最近の活躍にその理由がある。6月7日現在、打者としてリーグ上位に入る16本塁打を放ち、42打点と高い水準にある。6月5日、本拠地でのマリナーズ戦では、同じ花巻東高校の先輩、菊池雄星と2年ぶりに対決し、第一打席では、菊池の初球、カットボールを捉えセンターへの特大アーチを放っている。これまで大谷に足りないとされていた実力は、過去とは比べものにならないほど増し、他の候補者に決して引けを取らないほどの活躍を見せ始めている。

 また、もし大谷が現在行われているファン投票で選出されなくても、オールスターゲームに選出される可能性は他にもある。前出のフレッチャー記者は、「選手、監督、コーチの投票による出場の可能性も考えられる」ともいう。メジャーでは、オールスターゲームに出場する各リーグの先発投手、救援投手、各ポジションの控え選手を、これら関係者による投票で選出するルールも設けている。投手としても出場が可能な大谷にとって、“ウルトラC”級の裏技ではあるが、オールスターゲームという全米に放送される娯楽性高い試合であることを考慮すると「全くない話ではない」と同記者は述べている。いずれにしても、大谷のオールスターゲーム出場は可能性は日増しに高まっている。

 唯一の懸念点といえば、エンゼルスがどれだけ寛大な気持ちで大谷をオールスターゲームに送り込むかだろう。フレッチャー記者は「大谷は、エンゼルスから唯一選出される選手でしょう」と予想するも、「チームとしては、大谷のオールスター出場についてあまり騒いで欲しくないと思いますよ」ともいう。現在エンゼルスは、主砲のマイク・トラウトが怪我で離脱しており、さらに先発を含め投手陣はボロボロで、投打ともに大谷に頼りっきりの状態が続いている。当たり前だが、チームにとってはレギュラー戦の方が重要で、オールスターゲームへの出場は大谷にとって大きな負担になり、そのリスクを避けたいという本音があるのかもしれない。

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