2012年に生まれたシラユキヒメの9番仔であるブチコ(父キングカメハメハ)は、その名前のとおり純白の馬体ではなく黒毛も混じるまだら模様が印象的だった。競走馬としても4勝を挙げて準オープンまで出世するなどなかなかの活躍を見せた。

 そのブチコの初年度産駒が2018年生まれのソダシ(父クロフネ)だ。2歳時の2020年のデビューから5連勝でG3札幌2歳ステークス(芝の重賞制覇は白毛では初)、G3アルテミスステークスなどを勝ち、暮れの阪神ジュベナイルフィリーズで日本の白毛馬としては初のG1制覇の快挙を達成。さらに今年のG1桜花賞も制し、白毛初のクラシックホースとなった。オークスこそ8着に沈んで初黒星を喫したが、これからもまだまだ活躍が期待できそうだ。

 ちなみに世界で初めて白毛の競走馬として登録されたのは1896年にアメリカで生まれたホワイトクロス。障害レースで勝利を挙げるなどの活躍をしたという。

 フランスで1919年に生まれた純白の馬体を持つモンブランは、22年のG1仏2000ギニーを制覇。ただし当時の現地の血統登録に白毛という概念がなかったため、両親の毛色である栗毛で登録されていた。もし本当に白毛だったとしたら、世界初の白毛のG1馬はソダシではなくこのモンブランだったということになる。

 話をソダシに戻すと、彼女には今後の現役生活もさることながら、引退後の繁殖牝馬としてかかる期待も大きい。無敗で桜花賞を制した競走能力に加え、父クロフネに母父キングカメハメハ、母の母父サンデーサイレンスと名種牡馬が連なる血統で、前述のように近親に重賞勝ち馬もいる良血馬でもある。

 将来はソダシ系として白毛の活躍馬を子孫から多く輩出してくれるかもと思うと夢が膨らむというもの。純白のアイドルホースにとどまらないソダシの可能性に期待しよう。(文・杉山貴宏)