広島・堂林翔太 (c)朝日新聞社
広島・堂林翔太 (c)朝日新聞社

 広島・堂林翔太の輝きは、一瞬の幻だったのか。

 覚醒したかのような昨年の活躍に広島の街は盛り上がった。しかし今年はまたしても不調に陥り、再び存在感が薄れている。甲子園を沸かせ「プリンス」と呼ばれた男は再び輝きを取り戻せるのか……。

「2年連続Bクラスで3連覇がかすんでしまった中、昨年は堂林の活躍が希望だった。大袈裟ではなく、関係者、ファンの多くがそう思っていた。今年も同様に活躍して欲しいですけど。堂林とチーム成績がリンクしているようにも感じます」(広島関係者)

 リーグ優勝奪還を目指すシーズンが始まったが、チームは調子に乗れないまま初夏を迎えた。オフには3連覇時の主力だった田中広輔、松山竜平が揃って残留。開幕直後は期待を持たせる戦いぶりも見せた時期もあったがリズムに乗り切れない。交流戦前にはチーム内で新型コロナウイルス感染のクラスターが発生し5試合連続延期など、不運も重なった。

「田中、松山がFA権を行使せず残留。河田雄祐一軍ヘッドコーチの復帰など、勝つためのコマは揃った。しかし鈴木誠也と堂林が、期待通りに活躍できていないのが予想外に大きい。2人とも打線の柱として期待されていた。堂林は以前に戻ってしまったようです。そこへ来てクラスターの発生ですから、泣きっ面にハチですよ」(広島担当記者)

 堂林の昨年の復活劇は見事だった。オープン戦から好調を維持し、コロナ禍で遅れた6月19日の開幕戦(DeNA戦・横浜)では7番・一塁で先発出場。14年以来、6年ぶりとなる開幕スタメンの座を勝ち取った。その後、一時期は首位打者争いに加わるなど、最終的に111試合に出場して、8年ぶりに規定打席に到達。打率.279、14本塁打、58打点を記録し、打率は自己ベスト、本塁打数は12年のキャリアハイに並んだ。

「ルックスも含めてスター性が十分。甲子園での勇姿も記憶に新しい。活躍した時にはテレビ映えするし、ヒーローインタビューの時などは最後まで見てもらえる。取材しても人当たりが良く、数字(視聴率)を稼げる選手なので期待は大きいのですが……」(広島地区テレビ局関係者)

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堂林は「天才型ではなく努力型」