反対に二階俊博幹事長は中国とのパイプが強いことで有名だ。二階派幹部がこう言う。

「台湾にアストラゼネカ製ワクチンを送ると報じられた時、誰が裏で動いているのかと尋ねていた。二階さんとしては、自分が知らぬうちにワクチンが大量に台湾へ渡ったとなれば、メンツが丸つぶれです。安倍さんの案件と聞き、すごく不機嫌になりました」

 菅政権の生みの親でもある二階幹事長と元上司だった安倍前首相の鞘当てが外交の場で続く。菅首相は3日、イギリスで行われるG7サミットを前に安倍前首相の議員会館事務所に足を運び、“詣”。35分間、サシで会談した。

「解散総選挙、自民党総裁選が近いことから安倍さんは周囲に『政局になる』『首相在任中は選挙で負けたことはない』と語るなどやる気満々の様子です。首相の再々登板の可能性はゼロではないが、100人近い最大派閥の清和会をいよいよ継承し、キングメーカーとして実弟の岸防衛相をさらなる重要ポスト、子飼いの下村政調会長を幹事長ポストに押し込むことを狙っているとも聞きます。二階さんとしたら黙って引き下がれないでしょう」(前出の自民党幹部)

 秋の総裁選後のキングメーカーとして主導権を握るのは、安倍前首相か、二階幹事長か?永田町が固唾を飲んで見守っている。
(AERA dot.編集部 今西憲之)

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大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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