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「面倒くさいからお風呂に入らない」は皮膚の病気になる? 皮膚科医が驚いた珍しい病気

連載「現役皮膚科医がつづる “患者さんと一緒に考えたいこと、伝えたいこと”」

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

※写真はイメージです(写真/Getty Images)

「そう、アカツキ病」

「この患者さん、お風呂にちゃんと入っているか聞いてごらん」

 どういうことだ?

「ちょっとお聞きしたいんですが」

 こぢんまりとした診察室には娘さんと患者さんと私の3人だけです。

「〇〇さん、お風呂に入っていますか?」

 普段は凛とした娘さんはこの質問で困った表情を浮かべました。

「実はおじいちゃん、お風呂が嫌いで1カ月近く入っていないんです」

「そうなんですね。ご自宅に帰ったらこの腫瘍の部分、しっかりと石鹸で洗ってみてもらえませんか?」

「わかりました」

 ゆっくりと頭を下げる患者さん。私がそのおでこにあった腫瘍を見ることができたのはそれが最後となりました。

 アカツキ病とは、ウソのような本当の話、垢(あか)が付いて腫瘍のように見える病気です。

 垢が皮膚表面にたまっていき、場合によってはほくろのがんのように見える場合もあります。不潔にしていたことが原因なので、石鹸でしっかり洗い流せばきれいサッパリなくなります。

 私がはじめて見たアカツキ病は今まで見たことのない腫瘍のような色と形をしていました。

 コロナ禍でお風呂が面倒な人が増えたとはいえ、さすがに1カ月も入らない人はあまりいないと思います。

 私があえてここで言う必要もありませんが、外に出なくても皮膚は汚れます。

 特に湿疹があった部位などはそこから汁が少しずつ出ることでかさぶたになり、洗い流さずにいればアカツキ病となる可能性があります。

 アカスリのように、強引に皮膚をこすることは逆に肌を傷めて良くないのですが、汗や汚れを石鹸の泡で優しく洗い流すことは大切です。

 頭皮に垢が増えれば、カビが繁殖し脂漏性皮膚炎という病気になります。顔を洗わない場合はニキビが増えますし、陰部や足を清潔にしておかないと夏場はたむしや水虫が増えるでしょう。

 これからさらにジメジメとし、汗をかく時期に入ります。ついつい面倒くさくなってしまうお風呂ですが、湯船につからずともシャワーで汗を洗い流すことはしておきましょう。


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大塚篤司

大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員、2017年京都大学医学部特定准教授を経て2021年より近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授。皮膚科専門医。アレルギー専門医。がん治療認定医。がん・アレルギーのわかりやすい解説をモットーとし、コラムニストとして医師・患者間の橋渡し活動を行っている。Twitterは@otsukaman

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